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照の出所の日。
私は仕事の休みをもらって照の迎えに来ていた。
照に聞いていた11時の時間より20分も早くついてしまった。
冷たく固いコンクリ―トが立ち並ぶ中は何も見えない。
小さい出入り口だけが柔らかく感じた。
11時になると私の心臓は少しだけ早く脈を打つ
だけど、そんな私の緊張を裏切るようにいくら待てど照は出てこない。
プルルルプルル
バックの中で震えた携帯を取り出して耳に当てれば
辰「まだ?」
ふっかのウキウキした声
『まだ出てこないんだよね』
腕につけた時計に目をやればもう12時を半分も過ぎていた
辰「お前時間間違えたんじゃねぇの?」
『確かに11時って言ったはずなんだけどな』
辰「まぁ、こっちはいつでも準備OKだから」
『うん。わかった』
何かあったのだろうか。
1時間ほど前の私の緊張はもう半分も残っていない。
それでも時間だけが過ぎて、もう時刻は14時。
震える携帯を耳に当てれば再びふっかの声。
辰「まだ?」
『まだ。』
辰「今日なの?」
少し不安そうなのが電話越しでわかる
『うん。ちょっと聞いてみる』
そう言って携帯をバックにしまった。
塀の外に立っていた男の人に恐る恐る声をかけた
『すみません。今日出所の岩本照って、何時ですか?』
そう言うと男性を驚いたように目を見開いて
「岩本の出所は昨日ですが、」
ばつが悪そうにそう答えた
『え、』
「昨日出ていきました」
男性はそう言うと頭を下げた
それから自分がどうやってどの道を帰ったかは覚えていない。
だけど、足はしっかりSnowに向かっていた。
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作者名:o r | 作成日時:2020年7月22日 15時