四十一話 ページ41
ころんside
『そうだよ。…見せたくなかったんだけどなぁ。…私と似て、ヒステリックで』
ころん「…僕は、Aがヒステリックとは思わないけど」
『それは、ころんが外での私しか見てないだけ。家では、酷いよ。外に出してないだけ』
へら、と笑うA。
…何故ヒステリックになるのかは、怖くて聞けなかった。
Aも、悩みを沢山抱えてるんだ…
そこを踏んだら、いけないような気がして。
僕はただ、うん、と相槌打っていた。
『母さんね、父さんと離婚する前から相当やばくて。父さんと離婚したのも、父さんが耐えきれなかったから。私が母さんについて行ったのは、母さんを支えるため。でも、母さんは妹の方が良かったみたい。妹の方が出来が良かったしね』
Aは笑いながら話していたけど、笑顔が引きつっていた。
…なんで、そこまで無理して笑うの?
良いでしょ、無理して笑わないで。
鼻声じゃん、声も震えてるんじゃん、今にも泣きそうになってんじゃん。
…泣いていいんだよ、A。
我慢しなくていいんだよ
いい加減僕の前で、素直になってよ…
Aを抱き締めてやりたかった。
今にも壊れそうな程に、ボロボロな彼女を。
でも、僕にはそんな勇気なんてなかったから。
ただずっと、繋いでいた手を強く握って、相槌を打つことしかできなかった。
『…ごめん、私、帰っていい、かな、』
顔を歪ませるA。…多分、そろそろ限界が近いんだろう。僕の前では泣くまいと、必死に抑えてるんだと思う。でも、もうその抑えがきかなくなったんだろうな。
ころん「…うん、ごめんね、気をつけて」
『ううん、ごめんね…じゃあね、ころん…』
これは、僕がどうこう言える事じゃない。
人の家庭の事情に、むやみに首を突っ込んではいけない。
そのまま僕とAは家に帰ろうと、それぞれの方向へ振り返った。
…Aが振り向く際に、涙を流していた事に気づいていたけど、何も言う事ができず。
僕は唇を噛んだ。なにか一言、かけたいのにかけられない。そんな自分が嫌で。でも、かけない方がいいのかもしれない。
…分からない、何が正解なのか。
ころん「…A…」
ポツリと呟きながら、重い足を引きずるように、自分の家へ向かった。
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あじゅき(プロフ) - リンさんコメントありがとうございます!!そう言っていただき、私も嬉しいです!これからもよろしくお願いします!! (2021年10月24日 23時) (レス) id: e43a74c31a (このIDを非表示/違反報告)
リン - このお話好きなので、書き方が好きなので、新しいお話読めて嬉しいです!遅れましたらが、初コメひつれいしました。頑張ってください! (2021年10月24日 22時) (レス) id: 7fbb50c056 (このIDを非表示/違反報告)
リン - あ (2021年10月24日 22時) (レス) @page40 id: 7fbb50c056 (このIDを非表示/違反報告)
あじゅき(プロフ) - さところさん、コメントありがとうございます!そうですねー、醜形恐怖症とは、外見上の欠点にとらわれること、でしょうか。外見での些細なことが気になり、生活に支障をきたしてしまう、という事です。わかりにくくてすみません、、これからもよろしくお願いします! (2021年10月24日 19時) (レス) id: e43a74c31a (このIDを非表示/違反報告)
さところ - めちゃくちゃ面白いです‼︎醜形恐怖症って何ですか?よければ教えてください。あと言い忘れてました、はじめまして。これから頑張ってください‼︎ (2021年10月23日 22時) (レス) @page24 id: 6a3452bb65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あじゅき | 作成日時:2021年10月14日 21時