二十九話 ページ29
Aside
"あんたなんか、いなくなればいいのに"
人生で、何回言われただろうか。
これまで生きてきた中で、沢山言われたような気がする。
…やっぱり暴言なんて、慣れないものなんだなぁ、
この一言で、足に力が入らなくなった。
今にも、膝から崩れ落ちてしまいそう。
立っているのが、今は精一杯。
…今日は厄日なのだろうか、
大体、何故美奈がここにいるのかすらわからない。
ころんと美奈は知り合いっぽいし…
何も分からないまま、私は巻き込まれている。
ころん「…ねぇ、美奈さんは僕の事好きなんよね?」
美奈「えっ? う、うん!! もちろん!!」
…え、
美奈、ころんの事好きなの…?
でも、美奈は他校だし…え、? もしかして、中学校の頃の同級生って感じなのかな…
ころん「そっか、でも、無理だわ」
美奈「えっ」
ころん「えっ、じゃないから。てか、何回も言ってんじゃん、無理って。しつこい。それに、簡単に人に暴言とか言う人、僕嫌いなんだけど」
美奈「なんで、っ、だってAブスだよ? そいつといても、ころんくんが後悔するだけ…」
…つまり美奈は、ころんの事が好きだったってことなのかな、
ころんは露骨に嫌がってるみたいだけど…
何か、トラブルでもあったのだろうか。
私が、知る由はないかもだけど。
「ころんくんが後悔するだけ」…か…
…美奈の言葉も一理あるのかもしれない
…私みたいな奴が、ころんの隣にいてもいいのだろうか、
ころんは優しいし、それに顔が良い。気遣いだってできるし、照れると頭をかく仕草が、可愛らしくて。
私には、勿体ないほど、良い人だと思う。
…じゃあ、私は?
私はなにか、良いところでもあるのだろうか。
人には迷惑をかけて、顔だって良くなくて、友達だってほとんどいない。
…そんな私が、ころんの隣にいてもいいのだろうか。
手足が震えて、小さく空いた口が、動かない。何も言えない。
謝ったらなにかおさまるだろうか。
そう思い、「ごめんなさい」と言いかけた瞬間、震えていた手がとまった。
「え」と声が漏れそうになったけど、声は出なくて。
掌の温もりが伝わって、体全体縛られていたような感覚が、一気にとけた。
ころん「僕はAの事ブスだなんて思ってないし。なんならさっきからブスって言ってる君らの方がブスだと僕は思うけどね」
…この言葉が、どれほど嬉しかったか。
また、抑えていた涙が溢れてきた。
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あじゅき(プロフ) - リンさんコメントありがとうございます!!そう言っていただき、私も嬉しいです!これからもよろしくお願いします!! (2021年10月24日 23時) (レス) id: e43a74c31a (このIDを非表示/違反報告)
リン - このお話好きなので、書き方が好きなので、新しいお話読めて嬉しいです!遅れましたらが、初コメひつれいしました。頑張ってください! (2021年10月24日 22時) (レス) id: 7fbb50c056 (このIDを非表示/違反報告)
リン - あ (2021年10月24日 22時) (レス) @page40 id: 7fbb50c056 (このIDを非表示/違反報告)
あじゅき(プロフ) - さところさん、コメントありがとうございます!そうですねー、醜形恐怖症とは、外見上の欠点にとらわれること、でしょうか。外見での些細なことが気になり、生活に支障をきたしてしまう、という事です。わかりにくくてすみません、、これからもよろしくお願いします! (2021年10月24日 19時) (レス) id: e43a74c31a (このIDを非表示/違反報告)
さところ - めちゃくちゃ面白いです‼︎醜形恐怖症って何ですか?よければ教えてください。あと言い忘れてました、はじめまして。これから頑張ってください‼︎ (2021年10月23日 22時) (レス) @page24 id: 6a3452bb65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あじゅき | 作成日時:2021年10月14日 21時