二十六話 ページ26
ころんside
『…でも、これは流石に多いね』
Aはミルクティーが入った袋に目線を落として、苦笑した。
ころん「…だよねー、僕も思った」
『お金かかったでしょ」
ころん「うん、まぁね」
お金は少しかかったけど、Aのためならこれくらい全然平気だ。
『はい』
ころん「え？」
『私一人じゃ、流石に全部飲みきれないから。ころんも一緒に飲もう？』
そう言い、優しく笑いながらAは僕にミルクティーを一本、差し出してきた。
ころん「ん、ありがと」
僕はミルクティーを受け取って、蓋を開ける。
そこで、あ、とある事を思いだした。
ミルクティーを飲む前に、僕はもう一つ、Aにしなきゃいけない事がある。
ころん「A」
『？ なに？』
ころん「はいこれ。冷たいのと温かいので分けてあるから、交互で目冷やして」
『え…』
驚くAを無視して、僕は濡れタオルを渡す。
『なん、で…』
ころん「目、腫れてたから。もしかしたら、俯いてる理由は目が腫れてるのが嫌だったからなのかなーって、思った、んだけど…」
僕の言葉を聞くにつれ、Aは段々驚いている様子が、大きくなる。
理由…合ってる、のか…？
それに、一応、目が腫れた時の処置は、間違っていないはず…
『…ころん、なんかお母さんみたい…』
ころん「えっ、僕いつの間にAのママになったの」
『ふふっ、…ありがとうね。気づいてくれて』
ころん「ううん、合ってたみたいで良かった」
Aは僕から濡れタオルを受け取って、交互に目をタオルで抑え始めた。
その間、僕はさっき買ったミルクティーをちびちびと飲む。
…相変わらず、何をしても本当に可愛いな…
少しぎこちなくタオルを交互に変えて抑える姿が愛しくて。
タオルを変える瞬間に少しの間だけ見れる、目を瞑った姿が可愛くて。
全体がびっしょり水を含んでいるかのように、教室は静まり返っている。
口の中のミルクティーを飲み込む音さえ、煩く聞こえるほど。
沈黙の空気は、正直あまり好きじゃない。
でも、何でだろう。
Aとなら、沈黙の空気でも、今では平気に思える
それは、Aも一緒のようで。
あぁ、朝から散々だった。
だからこそ、この時間が落ち着く。
…この時間が。今度こそ長く続いて欲しい。
そう思いながら、また僕は一口、ミルクティーを口に含んだ。
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あじゅき(プロフ) - リンさんコメントありがとうございます！！そう言っていただき、私も嬉しいです！これからもよろしくお願いします！！ (2021年10月24日 23時) (
レス) id: e43a74c31a (このIDを非表示/違反報告)
リン - このお話好きなので、書き方が好きなので、新しいお話読めて嬉しいです！遅れましたらが、初コメひつれいしました。頑張ってください！ (2021年10月24日 22時) (レス) id: 7fbb50c056 (このIDを非表示/違反報告)
リン - あ (2021年10月24日 22時) (レス) @page40 id: 7fbb50c056 (このIDを非表示/違反報告)
あじゅき(プロフ) - さところさん、コメントありがとうございます！そうですねー、醜形恐怖症とは、外見上の欠点にとらわれること、でしょうか。外見での些細なことが気になり、生活に支障をきたしてしまう、という事です。わかりにくくてすみません、、これからもよろしくお願いします！ (2021年10月24日 19時) (レス) id: e43a74c31a (このIDを非表示/違反報告)
さところ - めちゃくちゃ面白いです‼︎醜形恐怖症って何ですか？よければ教えてください。あと言い忘れてました、はじめまして。これから頑張ってください‼︎ (2021年10月23日 22時) (レス) @page24 id: 6a3452bb65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あじゅき | 作成日時：2021年10月14日 21時
