月下美人 ページ28
side貴女
ぐいぐいと引っ張られながらもチラチラとグルッペンくんの表情を伺うも、その表情は見えない
しかし途中から見慣れたルートに私はグルッペンくんが何処へ向かっているのか察しがついたため、大人しくついていく
着いたのは例の蛍の飛び交う……いや、飛び交っていたが正しいであろうその場所へと足を踏み入れる
グ「やっぱりもう蛍はいないか」
貴『うん。 戦争の期間に蛍の時期も終わっちゃったしね』
私はそのまま月下美人が咲いていた場所へと赴く
結果から言うと月下美人はあるべき場所に普通にあった
ただし
グ「もう咲いたあとか」
貴「…………」
その花びらは大半が散ってしまっており、お世辞にも綺麗とは言えなかった
貴『この様子だとつい最近咲いたんだね』
グ「ああ」
残念な気持ちは確かにあるが、まあ見れるか見れないか元々分からない花だったので仕方ない
グ「……またいつか咲くだろ？」
グルッペンくんはおもむろにそんなことを言う
確かに、どこかに種が落ちているという可能性は、ないわけでは決してない
でも、そもそも此処は城の敷地内なのだ。そう毎日毎日忍び込めるほど、祖国の警備がザルだとは思わない
貴『そうだね。じゃあグルッペンくん、もしまた偶然見つけたりしたら教えてくれると嬉しいな』
そんなことを言うと、グルッペンくんは？と頭に浮かべたかのように首をかしげた
グ「…ここに住めばいいだろ？」
貴「………はぇ？」
……………いや、いやいや
貴『いやいやいや、国王様！？グルッペンくん、分かってると思うけどグルッペンくんは王族、私は庶民ですよ！？
城になんて住めるはず』
グ「なんだ、俺はてっきりあれはイェスの意味に捉えてたんだが？」
ムスッとした表情でグルッペンくんはそう言う
あれ？あれって？？
「Aに、生きるのを手伝って欲しい」
つい一日前に言われた言葉が脳内に流れる
あれってあれのこと？
つまりあれって
グルグルと頭が回る感覚がする
身体が自然と暑くなる感覚に頭がおかしくなりそうだ
グ「お前、、、今気づいたな？」
呆れた表情でグルッペンくんは言うが仕方ないだろう！？あの時は色々いっぱいいっぱいだったのだ
貴「…あ うぇ……」
動揺している私を見かねてか、いや、単に面白く思ったのか、グルッペンくんはニヤリと不敵に笑うと私との距離を詰める
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しゃりこw(プロフ) - 蘭菊さん» 身近に居られるのですね！、私も両親が耳が不自由なので…！返信ありがとうございました。こちらこそ本当に嬉しいです！ (2017年6月3日 18時) (
レス) id: 6e0192e497 (このIDを非表示/違反報告)
蘭菊(プロフ) - しゃりこwさん» そう言ってもらえるなんて感激です！一応友人にそういう方がいて『そういう方々』がどういうふうな考え方をしているのか、それを知ってもらいたくて書きました。なのでしゃりこwさんのような感想は本当に嬉しいです (2017年6月3日 17時) (レス) id: fe041c55cc (このIDを非表示/違反報告)
しゃりこw(プロフ) - 初めまして、読ませていただきました。正直聲の形を元にという言葉を読んだ時差別的なものになってしまうのでは、と考えてしまいましたがそんなことは無くとても感動するお話でした。ありがとうございました (2017年6月3日 16時) (レス) id: 6e0192e497 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭菊 | 作成日時：2017年4月23日 14時
