その愛、雨模様。

虚構愛慕の模様です。(segs)☆ ページ47

また明那は歩き出し、三枝と表札に書かれた一室の扉を乱暴に開け、その中に私を押し込む。
バタン、と音を立てて扉が閉まり、室内は随分と暗くなった。
｢...ねぇ、さっきの話本当？｣
大学に居た時よりずって静かな声で明那が問う。怖くて彼の顔は見られなかった。
『本当だよ...っていうか、なんでここまで連れて来たの？わたし、荷物置いてきちゃったじゃ..』
｢...っ！俺は！ずっと前からAのこと好きで！こないだ告白されてめちゃくちゃ嬉しかったのに！｣
ガン、と強く玄関の扉に押し付けられる。
私の肩を掴む力はどんどん強くなっていって、それが私の中の本能的な恐怖を煽った。
『はな、してっ...っ！』
彼の腕を掴んで抵抗している筈なのに全く効果が無い。
それどころか明那は簡単そうに私の腕を払い除けると、私の首を絞めた。
『...っ、ちょ、あき、』
周囲の音が遠くなっていって、身体が痺れる様な感覚がする。
このままでは殺されると彼に必死で手を伸ばした時、恍惚とした表情を浮かべる明那と目が合った。ぎゅ、と更に首を絞める力が強くなる。
『ひ、やっ、あ』
くるしい。生理的な涙が浮かんできて何度も明那の腕を叩くが、彼は全く気にしていないように＿寧ろ小さく興奮した様な息を吐いて＿言った。
｢A、安心して。俺Aの事は絶対殺さないし、一生大事にするから。だから今だけ我慢してさっさと気失ってくれないかなぁ.....あ｣
私が酸素を求めて必死に口を開いていると、閃いたような声を出した明那は何を勘違いしたのかそこに自身の唇を重ねだした。
『...っ、は、ぅ、』
元々空いていた口の中に、好都合とでも言いたげに彼の舌が入ってくる。
それによって全く酸素が私に入ってこなくなり、酸欠と恥ずかしさで溜まった涙が目から零れ落ちた。
ただでさえ涙で霞んだ視界が白くなってきて、もう駄目だと悟る。
急に力の抜けた私に気付いたのだろう、明那はキスの合間に笑って言った。

｢やっと、手に入れた｣


＿
リク17作目。
妄言から出た誠、なんてね。

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