簒奪の模様です。(hks)☆ ページ38
目を開けると、そこには何とも形容し難い暗闇が広がっていた。寝起きなせいで回らない頭をゆっくり振り、周囲の状況を確認する。手首には手錠、足には足枷が着いており、私は全身から血の気が引いていった。..これ、ヤバいやつだ。ここから出なきゃ、私、殺されるかも_
「あ!A起きたんだ」
突如あるのかも分からなかった扉が開き、驚きでそちらを見れば外から対照的な銀髪が此方を覗いていた。
『..ふゆき、』
上手くいったとほくそ笑むような顔で此方を見る冬雪。... ああ、合点がいった。きっと、彼女は
やっぱりあの時逃げておけばよかった、なんて後悔がちらりと脳を過ぎる。
そして大人しく捕まっている私を見ると、冬雪はこれ以上無いくらいに上機嫌な笑みでこちらに向かって歩き出した。相変わらず部屋に電気は着いておらず、光源は冬雪が入ってきた扉から入ってくる僅かな光だけだった。
「Aが悪いんだよ」
1歩、また1歩と、着実に冬雪が近付いてくる。逃げようとするが、足枷が鈍い音を立てるだけで全く動かない。
「私がいるのに、あんな男選んだんだから」
もう私と冬雪の距離は1メートルを切っている。私は彼女が得体の知れない何かであるような気がしてならない。落ち着けなくて、呼吸と心臓の音が強く聞こえる。冬雪の赤黒く染まった瞳から逃げ出せない。
「私は、ずっとAの事好きだったのに」
たすけて。私は目の前で停止した冬雪を前に、口をパクパクと動かした。でも、勿論そんな声は世間に届かない。..私の彼氏にも。
私はそれを手に取るように理解したから、絶望して下を向く。
「..ふふ」
ふと、上から笑い声が聞こえてきて。
弱々しく顔を上げると、冬雪は今まで見た事ないような優しい目を私に向けていた。何処か狂気でもあるようなその視線に思わずたじろぐ。
「Aは、私だけのものだから」
ふわりとした優しい笑顔と背後から差す照明、過度に私に科せられた絶望のせいで、冬雪が女神に見えた。
_
リク14作目。
リクエストは一旦停止とさせていただきます。
そして新作を作りました。 反応集です。此方はお話のリクエスト募集しております。(もう大丈夫かも、ってなったら停止するかも)
【2434】虹すらくすんだ世界の中で
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みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - むさん» ありがとうございます…!!!泣私自身ヤンデレ大好きなのでこれからも書き続けます!応援ありがとうございます (2021年11月18日 19時) (レス) id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - Oh…Kamoto…さん» 岡本さんん!!!!その節は本当にすみません…でもそう言って頂けて良かったです(安心)応援ありがとうございます! (2021年11月18日 19時) (レス) id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
みそ漬けキュウリで殴る(プロフ) - レーヴァテインさん» 新しい短編収穫の方にもコメント下さっていましたよね?!ありがとうございます…!!そう言って頂けると嬉しいです!ありがとうございます (2021年11月18日 19時) (レス) id: ed00509d09 (このIDを非表示/違反報告)
む - segs凄くいいです…。ヤンデレモノだいすきなので沢山書いてくださると私が喜びます♡これからも応援させていただきます! (2021年10月19日 22時) (レス) @page47 id: 0f73c4f562 (このIDを非表示/違反報告)
Oh…Kamoto… - 初コメ失礼致します。こんにちは!ガチの岡本です!あみゃみゃに殺されるならもはや本望でもあるので大丈夫です☆これからも応援してます!!! (2021年10月16日 23時) (レス) @page11 id: 0d243bf87d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みそ漬けキュウリで殴る | 作成日時:2021年1月6日 17時