スライムですがVTuberです。

03.でびると司 ページ3

ぽいん、ぽいん、ぽいん、と飛び跳ねて移動する。這って移動するほうがでびるへの振動や負担がないんじゃないかと思うんだが、この方が当の本人が喜ぶのだ。まあ速度もこの方が速いんだけど。


「まったく…自分の羽で飛んだほうがよっぽど速いだろうに」

「はしれーかぜのようにぶるずあーい！」

「誰が馬だ」

「ふふふ」

「付き合わせちゃってすいません、竜胆さん」

「よいよい。ワシも好きで付き合(お)うておるからの」


まあ俺とでびるのこの移動もなんだかんだ恒例と化しているもので、廊下を歩く人達の視線はあたたかだ。配信上でも小動物コンビとセット呼びされているので、でびるのおかげで俺の知名度自体もそこそこある。

なおチャンネル登録者数には反映されていない。好きなように配信して好きなようにゲームしてるからしょうがないな。自由にゲームができるから一向に構わん。


「Aー、今度一緒にコラボしよー」

「じゃあホラーゲームな」

「なんでじゃー！別にホラーゲームじゃなくたっていいじゃんかあ！あくしょんとか！あーるぴーじーとか！あるじゃん！」

「お前んとこだとホラゲの方がウケるじゃん。零とか」

「やーじゃー！それホラゲの中でも有名な怖いやつじゃん！！！他の！他の！」

「じゃあ桃鉄」

「あ♡あたやしい桃鉄やいたーい！けってー！」

「現金な奴。お前のスケジュールに合わせるから確認しといて」

「あえ。Aは予定ないの？」

「ないのー。まあ俺気ままにやってるからなあ」

「ええー…」

「お前がそんな不満そうな声出さんでも。好きなときに遊べると考えればそんな悪くなくない？」

「……らしかに？」

「ね。俺は今の生活で満足してるよ」

「じゃあいっかー。よてー確認しとくう」

「そうしてえ」


≠


「はーいっ、ショタっ子悪魔お届けに上がりましたぁ」

「んお。Aじゃん、お疲れちゃんでーす」

「んお。司さん、お疲れちゃんでーす」

「だーからやめろってその司“さん”っての。あんたの方がVTuber歴長いんだから」

「業界で大事なのはチャンネル登録者数だろ〜。敬語も使ってやろうか？」

「やーめーろ。敬称嫌がってんのに足してくんな」

「ひひひw冗談冗談」


ぽいぽい跳ねながらスタジオ入りすると、司がひらと手を振って挨拶してくれる。

竜胆さんにでびる、司ってことは…また麻雀でもすんのかね。俺対戦ゲームは性に合わないから向いてねえのよね。

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