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「そうですね、簡単に、お話しましょうか。私はサーシャに……葛葉さんに連れられて、前の叶さんが居た協会に住むことになりました。反応は、どうだろう、邪険にはされなかったけど、内心複雑だったのかな、叶さん、猫かぶりが上手だから」

「それ、普通本人に言う?」

「隠したってしかたないじゃないですか。まぁそれで、きっかけなんて特になかったんですよ。ただ、毎日おはようとおやすみをいいあってたら、情がわくでしょう?幸いにも、相性が良かったんですよ。空気感というか、隣にいることに違和がなかった」

 隣合って作業をしていても対して気にならなかったし、話しているうちにお互い寝てしまう、なんてこともよくあった。それほど、誰もが自分の半身であるかのような感覚だった。二人に聞いたことは無いけど、多分、同じようなことを考えていたと思う。

「ただね、終わりがちょっと、悪かったんですよ。私は後悔してないけど、二人はきっと後悔しました。そのことが私、申し訳ないなって思ってるんです。だからせめて、今回は邪魔しないように、心残りにならないように、傷跡を思い出さないように、って、思ったんですけど」

 まぁ、だめでしたね。へらりと笑うと、叶さんは複雑そうな顔をした。なんと言っていいか分からない、というような、形容しがたい表情だ。

「……Aちゃんは、それでいいの」

「これが、いいんですよ。自分勝手だと言われるかもしれません。悲劇のヒロイン気取りだと笑われても。それでも、私は綺麗な私だけを覚えていて欲しい。傷を残した分際で、今もまだ浅ましく思い出に縋るような、醜い女のことは知られたくない」

 まっすぐ、その瞳を見つめた。これは本当のことだとわかって欲しかったから。
 ずるい言い方をしたと思う。彼が何を感じても、だって彼は"傷"のことを覚えていないのだから、なんにも言えないのだ。そういうことに配慮する性格であることを知っている。それを知っていて、利用している。

「だからね、叶さんもできれば、忘れて貰えると嬉しいんですけど」

「それは、やだ」

「んん、そうですか。まぁ、いいです。あ、でも、安心してくださいね?私も別に、叶さんたちに無理やり関わって行こうと思ってるわけじゃ、」

「ちがうよ、そうじゃなくて」

 言葉をさえぎられて、私はきょとんと彼の顔を見た。

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(プロフ) - はじめまして!!この作品が大好きで何度も何度も読み返しています。これからも活動応援しています! (2021年8月19日 16時) (レス) id: b829afb215 (このIDを非表示/違反報告)
莉紬(プロフ) - りあさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。細かいところまで気にしていただいて、丁寧にかいた甲斐がありました。ぜひ、今後もお付き合い頂けますと幸いです。 (2021年6月30日 13時) (レス) id: 99f03ec5b8 (このIDを非表示/違反報告)
りあ - 一気読みしました、、、!とても好きです…!作中にサンダーソニアが出てきたときは思わず声を出してしまいました…!! (2021年6月29日 18時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 神さん» とても嬉しいコメントありがとうございます。そう言って頂けますととても励みになります。ぜひ、最後までお付き合い頂けますと幸いです。 (2021年5月11日 22時) (レス) id: 99f03ec5b8 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして。数日前にこの小説を見かけ、読ませていただいたところ本当に面白くて一気に読んでしまいました。差し出がましくて申し訳ないですが、これからも更新を応援しております。 (2021年5月11日 21時) (レス) id: bf2877755d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年5月5日 0時

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