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「ねぇ、せっかくなら僕の分もAちゃんが選んでよ」
「えぇぇ？やめといた方がいいと思いますよ、私の主観と叶さんの好みが同じになるとは思えませんし」
「いいよ、本当にダメそうな時は言うから」
「まぁ、それなら、選ぶだけ選びますけど……」
これなんの花？カトレアじゃないですか？特徴的だし、なんてパンフレットに乗った写真を見ながら話していれば、そのうちに店員さんが荷物を抱えて戻ってくる。
叶さんは機嫌よく、このまま鼻歌でも歌い出しそうだ。そんなに私に選ばせたかったのだろうか。なんで？
「お待たせ致しました。こちらが見本誌でございます。それから香りのサンプルですね、どうぞ」
チョコレート色の小瓶を差し出されて、ラベルを確認しながらかぽ、と蓋を開く。バニラはわかりやすく甘くて、理想通りの匂いだった。ローズとジャスミン、どっちにしようかな。すんすん、と何度か試してみて、ジャスミンの瓶をバニラの横に並べた。
「香りは、バニラとジャスミンがいいです。バニラの方を強めで……あの、お花が少し特殊なんですけど」
「はい、お伺いします」
「サンダーソニアって作っていただけますか」
これなんですけど、とスマートフォンで画像を出すと、大丈夫ですよ、と微笑まれる。少し時間がかかるかもしれないと告げられたけど、特に構わないので頷いた。
「代金の方は商品到着後に振込票でのお支払いをお願いしております。送り先のご住所は同一でよろしかったでしょうか？」
「はい、おねがいします」
「かしこまりました。それでは、お次のお花をお伺いしますね」
ううん、どうしようかな。ちらりと叶さんの表情を伺う。いや、でも、うーん。そうだな、イメージは、やっぱり白？香りは甘いけどフルーティとか、スパイシーとか……
「んん、お花は白百合、ですかね、香りは……スイートオレンジ？」
合わせるならなんだろう。やっぱり甘さが強くて、でもよく慣れてようやく気付くくらいのスパイシーさが欲しい。
「クローブをほんの少し、甘さの中に僅かに感じる程度で合わせて欲しいです。あの、試してみたいんですけど、可能ですか？」
「少々お待ちくださいませ」
こくりと頷いて、大人しく待つことにする。他にいいのあったっけ、なんて思い出していると、叶さんがふと、笑い声をこぼした。
「どうかしました？」
「ううん。ふふ、なんか、Aちゃんが僕のことどう思ってるか分かりそうなのが面白いなって」
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凡(プロフ) - はじめまして！！この作品が大好きで何度も何度も読み返しています。これからも活動応援しています！ (2021年8月19日 16時) (
レス) id: b829afb215 (このIDを非表示/違反報告)
莉紬(プロフ) - りあさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。細かいところまで気にしていただいて、丁寧にかいた甲斐がありました。ぜひ、今後もお付き合い頂けますと幸いです。 (2021年6月30日 13時) (レス) id: 99f03ec5b8 (このIDを非表示/違反報告)
りあ - 一気読みしました、、、！とても好きです…！作中にサンダーソニアが出てきたときは思わず声を出してしまいました…！！ (2021年6月29日 18時) (レス) id: d04a74515a (このIDを非表示/違反報告)
律(プロフ) - 神さん» とても嬉しいコメントありがとうございます。そう言って頂けますととても励みになります。ぜひ、最後までお付き合い頂けますと幸いです。 (2021年5月11日 22時) (レス) id: 99f03ec5b8 (このIDを非表示/違反報告)
神(プロフ) - はじめまして。数日前にこの小説を見かけ、読ませていただいたところ本当に面白くて一気に読んでしまいました。差し出がましくて申し訳ないですが、これからも更新を応援しております。 (2021年5月11日 21時) (レス) id: bf2877755d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：律 | 作成日時：2021年5月5日 0時
