遭遇 ページ18
「…なんか僕らも緊張するね…」
手を降り見送ったあと、ふと叶がそう呟いた。本当に緊張しているようで、いつもより声が固い気がする。
適当に返事をすると、聞いてるのか、と肘でつつかれた。
実を言うと、俺も壮真の緊張が移ったみたいにずっとドキドキしている。不安、期待が一気に流れ込んで来て、混乱しているみたいに。
とりあえずどこかに座っておこうと、叶と一緒に本社の廊下を歩く。と、少し先のドアから見知った顔が見えた。
「……あれ?」
「あ、」
偶然、部屋から出てきた剣持刀也、もといもちさんと目が合った。声を掛けながら近づいてくるもちさんは、俺たちの異変に気づいているかのように不思議そうな顔をした。
「なんか…固くない?」
「…やっぱそう見えます?」
とりあえずあっちで話そう、とロビーに連れて行かれ、3人で椅子に腰かける。
「もちさん何してたんすか?」
「ああ、僕はただの打ち合わせだったんだけど、2人は?」
探るような目つきでじろじろ見るもちさんに、俺たちは苦笑いで返すしかなかった。
まだデビューもしていない壮真のことを話すわけにはいかないし、だからといってこの状況を上手く誤魔化すことも出来ない。
どうしようか、と叶と目を合わせて小声で相談する。その間にももちさんは頬杖をついてじっと見てくるから更に焦った。
「…ッスー……まあ、大事な…用、みたいな」
「あは、隠すのへったくそだね」
くっくっ、ともちさんは口を抑えて笑う。俺たちの様子を察してくれたのか、もちさんはそれ以上詮索することはしなかった。
その後は、あの大会はどうだとか、今度のもちのわーるコラボはいつにするか、といった打ち合わせ兼雑談のようなことをしていた。
もちさんが空気の読める人でよかったな、と安心した。けど、安心するのも束の間ってきっとこういうことを言うんだろうな。
「叶くん!葛葉くん!やったよ!」
満面の笑みを浮かべた壮真が、運悪くこの人の目の前で俺たちに抱きついてきた。俺たちは顔面蒼白で、状況の分かっていない、というかもちさんが見えていない壮真は不思議そうな顔をした。
壮真の面接が上手くいったのなら、万々歳だ。だけど、タイミングってもんがあるだろう。
ちらりともちさんを見ると、意地の悪そうな笑みを浮かべてこう言った。
「どういうことですか?さっさと話せ」
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gibyaso754(プロフ) - 名前変換できるようにして欲しいです (1月22日 8時) (レス) @page4 id: 1e4176b142 (このIDを非表示/違反報告)
はーしーですよ。(プロフ) - その後2人が楽しく配信出来たのか気になる所!これからも応援します。 (2023年5月9日 22時) (レス) id: 83bbff44cf (このIDを非表示/違反報告)
あおりんご(プロフ) - 33さん» コメントありがとうございます!面白いなんて言っていただけてとても嬉しいです!更新頑張ります! (2022年7月29日 13時) (レス) id: 96896c9c2e (このIDを非表示/違反報告)
33 - めちゃくちゃおもしろかったです!!!!!更新頑張ってください (2022年7月29日 13時) (レス) @page33 id: ce81fe4080 (このIDを非表示/違反報告)
あおりんご(プロフ) - 綺羅さん» コメントありがとうございます!やっとですね笑!楽しんで頂ければ幸いです! (2022年5月25日 22時) (レス) id: 9a72bcc81d (このIDを非表示/違反報告)
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