<リレー小説版>GO！勇者育成学園！〜クラス決定試験編3〜

渦【美谷 凪】 ページ30

「心愛！ るい！ 早速さっきの行くよ！」

　開始とほぼ同時に、凪はそう言って構える。3人が準備をしている間、瘋は言葉巧みに挑発を繰り返し、相手4人を1箇所に集めている。

　全力攻撃の準備が整うと、凪は瘋にアイコンタクトを送った。瘋がいつでも退避できるとの合図を返したのを確認して、凪は渦を投げつけた。

「いっけー!!」

　投げつけた渦が相手チームを襲う。数人の叫び声が聞こえ、凪たちは疲れながらも勝利を確信した。

「やったな！」

　心愛が勝ち誇ったようにそう言ったが、渦が晴れると、そこには先程凪たちが放ったはずの能力を持った生徒、茜が残っていた。

「まったく、馬鹿の集まりで助かりましたよ」

　茜は手に持った能力を次々に放り投げた。その能力は尽きることを知らず、凪たちはフィールド上を逃げ惑った。

「ハァ、何でまだ終わらないかな」

　るいは長引く戦闘に苛立ちが募っているらしい。

「嘘やろ！ 能力取られとるなんて、どないしろって言うねん!?」

「ここ、一々能力に驚いていたらキリが無いよ？」

　予想外の展開に切れる心愛を瘋がなだめるが、それもいつまで持つのやら。

　何とかしなきゃ。凪は逃げながらそう考えていたが、どうにも良い案が思い付かなかった。

　このまま逃げ回っているだけでは、体力を削られて事態は刻一刻と悪くなるばかり。

　かといって下手に能力を使うと、また能力を取られてしまうだろう。

　勝機があるとすれば奇襲ぐらいだが、果たして成功させられるか。

「何とかしなくちゃ！」

　凪は自分に言い聞かせるように、何か良い案を思い付くために言った。

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