<リレー小説版>GO！勇者育成学園！～クラス決定試験編～ (ページ37)

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谷底【鶴城光里】ページ37

「ハァ……」

　体力試験を終えた光里は、大きな溜め息を吐いた。体力試験の出来が悪かったというわけではない。体力試験はむしろ上出来だった。流石に10分耐久はクリアできなかったが、今回含めてクリアした者はいないからまぁ良しとしよう。

　問題は次の能力試験。他の試験と同様、E,N合同で行われ、能力の強さと精度、即席パーティでどれだけ協力できるかを見られる。

　これまでの勇者パーティの伝統に則り、1チームは4人。その場でのくじ引きによって決められる。

「能力使って協力って言われても……」

　光里の能力は、『一定範囲内にいる人の能力を無効化する』こと。昨年の今ごろは、能力無しと言っても通じる程度弱かったが、この1年間否が応でも能力を意識させられたせいか、随分と強化され、生徒なら大体通用するようになった。

　能力が強くなることは、一般的には良いことなのだが、光里にとってそれは混乱を招くだけであった。というのも、能力の制御の仕方が分からないままに強化授業を受けてしまったため、敵味方問わず能力の対象になってしまうのだ。

「協力のしようが無い……」

　能力を使ってチームに貢献するとなると、開始早々敵陣に突っ込むことぐらいだろうか。だが、ルール上それをすると、元々少ない試験の点数が無くなる。

　さて、どうしたものか。そう思いながらチーム分けのくじを引く。

「Tですか」

　はてさて、今回同じチームになってしまう不運な人は誰なのやら。