<リレー小説版>GO！勇者育成学園！～クラス決定試験編～ (ページ18)

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やることがない。【鶴城翔矢】ページ18

「ヒマだな」

　現在、よく分からない建物に捕まっている翔矢は、そう呟いた。というのも、セレモニーが終わると同時に個室に連れて行かれ、そのまま放置されているのだ。

　一応部屋からは出られるようになっているが、昨年まで行っていた1-E教室が分からなくなるほどの重度の方向音痴は、この部屋を離れないほうが良いと判断した。

「マジでヒマだ」

　部屋は洋式ホテルの一室のようになっていて、ベッドやトイレも勿論付いている。歯ブラシなどの消耗品も完備で、なぜかポットと紅茶の葉が入っている三角の何かも置いてある。

「Wi-fi飛んでたら完璧なのにな」

　この部屋の欠点といえば、娯楽になるものが全く無いことだ。紅茶の三角は大量に種類があるのに、トランプとかボードゲームとか、そういった類のものが一切排除されている。もっとも、相手がいないとつまらないのだが。

　今は真っ昼間。フラフープ壊しにかなりエネルギーを使い、それから何も食べていないので、そろそろ何か口にしたい。だが、この建物の主、金属男はなぜか洒落たものばかり勧めてくる。

「マナーとか厳しそうなんだよな」

　翔矢が金属男の前で何も手をつけなかったのは、これが最大の要因だった。マナーのマの字すら分からない彼が下手に動くと、半殺しにされかねない。

「ハァ、ヒマだな」

　翔矢は何度目かの溜め息を吐いた。その時、部屋のドアが1人でに開いた。まさか、あの金属男が来てしまったのか。

　おそるおそるドアに近づく。しかし、そこにいたのは勇学の生徒。先程一緒にいた後輩とは違う。

「俺は鶴城翔矢。お前は？」