<リレー小説版>GO！勇者育成学園！〜入学編〜

準備【鶴城 光里】 ページ14

光里side

今日は入学式。新1年生がやって来る日だ。

生徒会は総出で教室の飾り付けやその他の準備を行うことになっていた。

生徒会員はクラス代表を除けば全員がEクラスである。そのため、Nクラスの準備は別に力を入れなくてもいいだろうと思われていた。3-Nの代表は、なんとなくその雰囲気に流されているようだった。

しかし、Nクラスだろうがなんだろうが、新入生は歓迎すべきと自分は考えていた。そこで、いつもより1本早い電車で来て、自分一人でNクラスの準備を済ませてしまおうと意気込んでいた。

｢おはようございます｣

生徒会室に入る。予想通り、まだ誰も来ていない。

｢始めますか｣

備品の棚を開けて、入学時に配布する資料と、こっそり作っていた飾りを取り出す。友達に頼んで書いてもらった『祝入学』の文字も鞄から出し、それらを携えて1-Nに向かった。

正式な生徒会の許可はとっていないが、どうせEクラスでも勝手にやってるし、入学式の生徒会の目標は『新入生歓迎』であるから問題はあるまい。

忍び込むようにして1-Nに入る。幸い、まだ誰も来ていないようだった。

Eクラスの人たちが乱雑に並べた机を1つずつ並べ直し、全ての机の上に資料を置いた。

それが終わると今度は黒板に持ってきた飾りを付け始めた。

｢あれ？｣

なかなか上手くいかない。やはり1人で全部やるのは無茶だったようだ。紙で作ったリースの長さも少し足りないし、配置もまったくなっていないように思えた。

早くしないと、次の電車で新入生が来てしまう。焦りが大きくなる。

そんな自分をさらに急かすかのごとく、扉の辺りに複数の人の気配を感じた。

｢少々お待ちください！｣

扉に向かってそう叫び、急いで飾り付けを終わらせた。完璧とは言い難いが仕方ない。これ以上新入生を待たせるわけにはいかない。

｢お待たせしました。皆さん、ご入学おめでとうございます！｣

教室の外で待っていてくれた生徒5人組に笑顔でそう言い、逃げるようにして自分の教室に走った。

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