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☆[ヤマト]Ora Coniungere Nervi -大和男子の琵琶の音- ※口調崩壊注意 ページ41

島の中でも一際目立つ湖畔。
静かな筈のこの場所で、ヤマトは一心不乱に琵琶を掻き鳴らしていた。
真剣な表情で弾く彼を止めるものはどこにもない。
「…ふう、ここまでにすっか!
そろそろ戻らねえと飯食いそびれるぜ!」
辺りが夕焼けに染まっていた事にやっと気付いた彼が、
湖畔から離れるまでに五秒も掛からなかった。

『あれ?』
一人の女性が湖畔を通り掛かり、
平らな切り株に置かれていた物を手に取った。
『楽器…?でもギターとかベースの類じゃないよね。』
小さく呟いた筈の声が、風に乗せられて辺りに響く。
こんな所にまで取りに来る人はいないだろうと考え、
彼女はそれを持って湖畔から踵を返した。
ちょうどその時。
「あ、それ…!」
『え、これ君のなの?』
さっきまでそこにいた彼が、はいっと言いながら頷いた。
「はい、本当にありがとうございます!
バチは持って帰ってたんっすけど、
肝心の本体を忘れちまってたんっすよ!」
キラキラと言う効果音が付く様な明るい笑顔で、彼は彼女に笑う。
だがすぐに、その表情に陰が落とされた。
「おかげで、罰として夕餉抜きっす…。
飯が食えなきゃ練習に身が入らねえのに…!」
『あ…、じゃあさ、これから二人でご飯食べに行かない?
私もまだだし、これも何かのご縁だと思うし。』
「マジっすか!?ありがとうございます!
そうと決まれば早く行くっすよ!」
彼女は歩き出した彼を追い掛けながら、
忙しい人だなと心の中でそっと呟いた。

『ご馳走さま。本当に奢って貰って良かったの?』
「おう!琵琶を見付けてくれた例だ!
Aが優しい人で良かったぜ!」
街の飯店を出て、二人で歩きながら話す。
『それにしてもヤマトさんが有名な
雅楽師グループの人だなんて思わなかったよ。』
「良く言われるぜ。
着物着てんのに信じて貰えない時もあるからな!」
『そのメイクは、確かに信じ辛いかも。』
「マジ!?でもこれが一番オレっぽいしなー!」
『否定はしてないよ。格好良いと思う。』
「やっぱり?Aは分かってんなー!」
話している内に、Aの小屋に来た。
『送ってくれてありがとう。ヤマトさんも気を付けて。』
「あたぼうだぜ!また今度、絶対どこかで会おうな!」
簡単だけど希望の持てる約束をして、二人は別れた。

琵琶が引き寄せた二人の縁は、弦の様に解けないだろう。
彼らがそれを知るのは、果たして…。
〜〜〜
ヤマトは個人的に、某2434の狐っぽい彼と被ります。
リクエストありがとうございました!

☆[タイヨ]虚無の風雅に身を窶して ※口調崩壊注意→←☆[エイシュウ]邯鄲之夢 -その刹那に剣を抜く-



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螢羅(K-Ra)(プロフ) - アメジストさん» ありがとうございます!どうぞ他の作品も楽しんで下さい! (2020年1月28日 18時) (レス) id: b7b3ad2127 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - 完結おめでとうございます!。寂しくなってしまいますが、これからも貴方様の小説を読みます!。アンデルの長編も楽しみにしてます!。それでは、またお愛しましょう!!。 (2020年1月28日 17時) (レス) id: 0a7b322e74 (このIDを非表示/違反報告)
螢羅(K-Ra)(プロフ) - アメジストさん» 応援ありがとうございます!これからも楽しんで書いていきます! (2020年1月15日 19時) (レス) id: b7b3ad2127 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - メッセージを見ましたが、改めまして、リクエストばかりで申し訳ありませんでした!。そして、自身で書きたいものもたくさんあったにも関わらず、リクエストを、お応えいただき、誠にありがとうございました!。これからもこの小説はもちろん、他の小説も応援してます! (2020年1月15日 19時) (レス) id: 0a7b322e74 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - そうでしたか!。読んでみます!。 (2020年1月15日 7時) (レス) id: 0a7b322e74 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年4月28日 15時

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