1家に1台ゆんぎくん (ページ9)

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「………正直、…俺も不安」

「……、うん」

彼から出た本音は予想していたものとは全く違っていた

「年上で男なんだから甘えないでしっかりしなきゃな、とか思って」

「でもAに会うと無条件に触れたくなるし」

「大切にしたいし怖がらせたくねーのに抑えらんないんだよ」

つらつらと彼の口から出てくる甘い本心を知った今、熱をもつのは私自身で

勇気を振り絞って喉でつっかえる言葉を押しだせば聞こえた自分の声はあまりにも小さかった

「抑えなくっていーよ」

そんな小さな呟きさえも汲み取った彼は焦ったように顔をあげて私を見つめた

「俺のために無理しなくていいから、Aのペースでいこう」

私は静かに首を振った

「無理してないよ」

今度は喉奥でつっかえることなくハッキリと伝えられれば

彼の瞳の奥が少し、揺れた気がした

「我慢、しなくていいよ」

どこか遠くの方で
何かが切れたような音が聞こえた

気がした

不意に視界は反転して、視界は彼でいっぱいになって

「……できる限り優しくする」

「うん」

その言葉を合図にどちらともなく深く唇を重ねた長い夜

あの日はとても月が綺麗だった
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