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少しだけ早いけど、年越しそばを2人でソファの前に座ってテレビを見ながら食べる
たわいもない話をして
あぁ、今日で1年が終わるのか、なんて今更になって実感が湧いてきた
先に食べ終わったユンギは私が食べ終わったらお風呂へ入りにいった
今日だけはいいよね、なんて自分に言い訳をしてお菓子を食べながらスマホをいじっていれば
ほんとにちゃんと洗った?ってぐらい速く、ユンギが出てきた
「おかえり」
「ん、」
彼は重めの濡れた前髪を邪魔そうに首を振って避けて、ソファに座っている私の隣へと座った
乾かさなくていいの?って聞けば
んー、なんて曖昧な返事を零すユンギ
コーヒー入れてあげよう、とキッチンへと向かえば
どこいくの、とでも言うような目で見つめられる
ユンギは感情を口には出さないけどそれは無意味で、凄く目に出ると思う
本人には言わないけど
それが可愛くて可愛くて、
時々意地悪しちゃうときもあるほど
ソファの方へ戻って彼にブラックコーヒーの入った、お揃いのマグカップを渡して、彼も受け取りはするけど私が隣に座るまで見つめ続けるユンギ
その目はまるで、
もうどこにもいかない?と言ってるように見えて
無意識なのかな
少し間を空けて座った私を不服そうに見つめて、私の服の袖を引っ張った
「なに、どうしたの」
「………もうちょっとこっちこないと落ちるだろ」
なんて言うユンギは典型的なツンデレタイプ
ちゃんと近くに座れば、満足そうに少しだけ口角を上げて私の肩へもたれかかってスマホをいじり始めた
ふと、時計を見ればちょうど12時ジャストで
「…今年もよろしくね」
「ん、」
私たちの年の始まりはいつもこんな感じだ
ダラダラして、とりあえず今年もよろしくとだけ伝えて終わり
もうあとは寝るだけ
でも今年は違った
不意に落ちる影に唇に感じる柔い感触
至近距離にあるユンギの顔に驚く暇もなく
「あいしてる」
とだけ伝えた彼は
寝るぞ、と言って先に寝室へと去っていった
こういうときに限って脳の処理速度は低下して
「ちょっと待って!ユンギ?!?」
遅れてやってきたのは嬉しさと驚きと
深夜なのに近所迷惑も忘れて声を荒らげて
最後に見えた彼の耳は確かに赤かった
「ちょっと、!!ユンギ!何今の!!!」
「るせ、」
ユンギなりの今年もよろしくの挨拶、ちゃんと受け取ったよ
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作者名:あみゅ | 作成日時:2020年3月9日 0時