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「僕、先輩の匂いも結構好きですよ?」
少しだけ離れた彼は私の顔を覗いて可愛らしい笑顔を見せた
ひえぇ…、これがモテるやつの仕草ってか
なんて失礼なことを考えながら照れを隠して
ありがとう、と呟けば思った以上に出た声は小さかった
「何してんの、」
「ひっ、」
「あ、ミン課長」
上から降ってきた声と共に香る大好きな匂いに条件反射で思わず悲鳴が出た
振り向けば
そこには予想通り、ミン課長がいて
探るように見つめる目と絡む視線にすでに頭はパニック状態
どこから聞かれてた?え、無理無理無理
うわ、変態かよとか思われてたら普通に死ねるよ?私生きてける?大丈夫そう??
え、もういっそのことここで成仏する?
なんてミン課長と合わさった視線はそのまま、頭は上の空で
「A先輩はミン課長の匂いが大好きっていう話をしてただけですよ。ね?先輩」
不意なジョングク君の発言で思考が停止する
「ジョ、ジョジョ、ジョングク君??!?!」
バッと彼の方を見れば
にこーっと憎むに憎めない愛嬌のある笑顔で見つめ返されれば何も言えなくなって
「へぇ、何、A俺の匂い好きなの?」
「ぁ、……ぅ…、」
ミン課長の表情がだんだんと、口半開きのぼけっとした顔から含みのある笑顔に変わった途端、認めざるを得なくなって
ダメ、
彼の香りだけじゃなくって
その、片方の口角だけを上げた妖しげな笑い方にめっぽう弱いんだ
「すき、です……」
蚊の鳴くようなか細い声で答えれば
隣で
僕には線香の匂いにしか感じないんだけどなー
って失礼な独り言が聞こえたから睨んでおいた
当のミン課長はそんなこと気にもせずに甘い笑顔を私に向けて、何かを差し出してきた
疑問に思いながらも、彼の手の下に両手を差し出して
重みを感じ取った両手に目を向ければそこにはうっすらとアイボリー色を感じさせるような、決しておっきくはないボトル
「え!!」
勢いよくミン課長の方へ視線を移せば
「やる」
なんて穏やかな笑顔を見せたあと私の頭をぐしゃりと撫でて仕事へと戻っていった
そんな姿を見つめることしか出来なくて
「良かったですね、しかも使い古し」
ほんの少しだけ減ってるそれを指摘したジョングク君の方に向き直れば時差でみるみる顔が熱くなって
「ねぇ、明日死にそう」
灘れるようにデスクに突っ伏せば横でケラケラと楽しそうな笑い声が聞こえた
私今なら何でも許せるわ
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作者名:あみゅ | 作成日時:2020年3月9日 0時