温度 ページ13
・
「ユンギってさ、ファンヒーターみたいな恋するよね」
「は？」
暖かい空気が流れる部屋の中、
ソファで目を閉じてうとうとしていれば
床に座って、電源の入ったファンヒーターを見つめるジンヒョンの口から唐突に出たその言葉の意味を理解するのは容易ではなかった
「どういうことですか」
「んー、そういうこと」
歯切れの悪い返事に眉間に皺を寄せ、見つめていれば
ヒョンはそんな俺を見かねて口を開いた
「あったかいと眠たくなるよねぇ」
「……まぁ」
「…そういうことだよ」
何が言いたい
煮え切らないその反応に次第にイライラが募る
「寝るんでしょ？」
「…」
「最近Aちゃんと上手くいってる？」
返事を濁せば話題を変えてくるヒョンの意図は俺には分からなかった
「そこそこなんじゃないですかね」
別に普通だ
カトクはこの頃してないけど2週間に1回は会ってるし
会ってもどこかに出かけることは無いけどお互いそれで満足してるし
そこそこだ
「…Aちゃん、疲れてないといいね」
「まぁ、そうっすね」
また、温風を出すそれを見つめるヒョンから視線を逸らして目を閉じる
「さっきから何が言いたいんすか」
真意を汲み取れない意味深な発言をするヒョンに明確な返答を強いる
ハッキリさせたい俺の性格分かってるクセに
ふ、と足先が冷たくなる感覚を覚えれば、暖かい風はこなくなった
「さみ…」
「あーあ、…きれちゃった」
ジンヒョンの声に目をやればファンヒーターの電源は切れていた
「そこに灯油あるんで入れてもらっていいですか、俺動きたくないです」
ヒョンに甘えてブランケットをかぶる
つける前より寒くて仕方がない…
身体の芯から冷える感覚がした
「……ユンギ失敗しそうだから言っとくけど、灯油が無いと火ははついてくれないからね」
まぁ、今回は特別だけど。
なんて、当たり前に分かってることを言ってくる真相が本当に分からなかった
けど、
ただ無性にAに会いたくなった
・
ラッキーメンバー
V
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 86人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あみゅ | 作成日時：2020年3月9日 0時
