Wasted love ページ1
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俺は多分
あの黒い髪に、
深い眼差しに、
優しい微笑みに
惹かれたんだと思う。
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「ゆんぎくーん、これ…やってもらってもいいかなぁ?」
あたし、こういうの苦手でー…
なんて狙った上目遣いを使ってくるのは名前も覚えてない同期。
仕事ができない奴ではないはずなのに、
自分の都合で俺に仕事を押しつけてくるこの子は明らか俺が苦手な策士タイプで。
「……あぁ、別に。…いっすよ」
「ほんと?!いっつもありがとー」
言っとくけど、お前のためじゃないからな。
なんて心の中で悪態をつきながら、
嬉しそうに去っていくそいつの後ろ姿に軽く、あっかんべーをしておいた。
もちろん、心の中で。
時計を見やるともうすぐ定時
それなのに俺はさっきの策士家から渡された大量の新しい仕事に取りかかる
…今日も残業確定。
「あ、いいよ!これ、私やっとくから早く帰ってゆっくりしなね」
「毎度すみません、部長…お先に失礼させていただきます…」
「いいの、いいの!お疲れ様〜!」
ふと後方から聞こえてきた会話に、
さっきからバタバタと忙しそうに動き回っている部長と呼ばれたその人を盗み見る
…今日も話せるかな。
動き回るたびにさらさらと楽しそうに舞う黒髪を目で追いかける
飾り気がなくて、でもどこか華やかで。
際どく開いた胸元はいやらしさとかは全然感じないけど、
そこから見える白い鎖骨にはもどかしさでどうにかなってしまいそうになる。
何かを掻き立てられる様な感覚になって仕方がない。
大人の色気と言うべきか
彼女の耳元で控えめに主張するピアスに、
ささやかなシルバーのネックレスが彼女の存在を引き立たせてる
無駄がないのに地味じゃない、
少しミステリアスなその雰囲気はもろストライクゾーンで。
…はぁ、仕事頑張ろ。
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作者名:あみゅ | 作成日時:2020年3月9日 0時