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『あー、毎日のように告白されてたもんな〜。』
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慧の言葉に5年前の記憶が蘇る。
・・・そういえば涼介、結構モテてたな〜。
気づいたら第2ボタンまでなくなってて・・・。
あのときはショックだったな〜。
涼介、誰かにあげちゃったんだ、って、彼女でもないのにすごい嫉妬してた・・・。
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懐かしい苦い記憶を噛み締めていたとき、軽快な電話の着信音が流れる。
それぞれがスマホをチェックするなか、私のスマホは光っていた。
「あ・・・、私だ。ちょっと出てくるね。」
相手は誰だ、と言わんばかりに隣から感じる突き刺さるような視線は気づいてないふり。
立ち上がったとき、一瞬頭がくらっとしたが何もなかったように立ち去る。
...
『・・・もしもし?』
______あ、A?
『んー?大貴?』
______そうそう、俺。あのさー、レポート終わってないから見せてくんない?
『あー、じゃあ今度家に行こうか?』
______いや、それは悪いから俺がAの家に行くよ。
『ん、わかったー。じゃあ、来週の土曜とかどう?』
______んーとね、・・・うん。午後なら行ける。
『じゃあ、土曜の午後、私の家で。』
______りょーかいしました!悪いな。
『ううん、全然平気。じゃーねー。』
...
____有岡大貴。同じ大学に通う彼女持ち。
どうして私の周りはこんなにもリア充が多いんだか・・・。
最近よく見かけるイチャコラしてる姿を思い出して思わず表示されていた名前を睨む。
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私だって彼氏つくって楽しい日々を送りたい。
けどこの五年間忘れることができなかった涼介の存在。
誰を意識してみても、かっこいいと言われる学園のモテ王子を目で追ってみても
結局ゴールは涼介一択で他のものなんて眼中に入ってない。
自分でも嫌というほどわかってる。
涼介じゃないとダメなことくらい。
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作者名:悠華 | 作成日時:2020年2月14日 16時