21話 ページ22
翔太side
｢真冬くん、ちょっといいかな。｣
あからさまに怪訝そうな顔をしながらも真冬は俺に着いてきた。
｢単刀直入に聞くけど、Aのことはどう思ってるの。｣
｢僕は...Aが...本当に好きなんだ...｣
今にも消え入りそうなか細い声で真冬は呟いた。
俯いていて表情は読み取れなくても、泣いていることくらいわかる。
｢はぁ......。
本当にAを想ってるなら、それをあいつにつたえてやりなよ。｣
｢......えっ？.....｣
｢だから、お前の想いは今、Aには届いてないんだよ。
Aは鈍いってことくらい付き合ってたなら分かるだろ？｣
｢.........うん。｣
｢だったら、Aにも届くように、伝えてあげてよ。｣
俺だって本当はこんなこと言いたくない。
誰よりも嫌いだった真冬に。
でもこれは、
Aのためだから。
｢やっぱりそうだよね....。ありがとう。翔太くん。｣
｢これはAのためだから。勘違いしないで。｣
そう言うと、真冬は走り去って行った。
まぁきっと、上手くいかないだろう。
そんなことわかってる。
Aが、彼方先輩に本気で惹かれ始めていたことも知っている。
真冬がAを取り戻すには時間がかかるだろう。
もし、取り戻なかったとしても、ちゃんとした想いが伝わればAの気持ちが晴れると思うんだ。
だったら、どっちだっていいから。
彼方先輩でも、真冬でもいい。
Aが幸せになってくれるのなら。
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作者名：流雨 | 作成日時：2018年11月14日 0時
