家の子達がイケメンとか聞いてない!

その八匹 ページ10

俺とAが出会ったのは16年も前の事だ。俺は、周りの犬とは違う生き物だった。人間になれる気持ち悪い生き物。人間になっても警察に捕まってしまう。生き方なんて分からない。幼い頃に人間に捨てられて以降俺は野良犬として生きてきた。人間は野良犬を許さない。保健所の奴等が閉じ込めにくる。今まで捕まって殺される犬を何度も見た。幸せそうに生きれる犬と殺される犬‥なんでこうも違うのだろうと考えながら生きてきた。

そんな風に生きていたある時、俺は空腹によって死にそうになっていた。今思ってもあの時は地獄でしか無かった。数日前にゴミ箱を漁ったせいで人間につけられた傷が酷く痛かった。

もう死んでしまうのか、と。あぁ、死ぬことが出来るのか、と思っていたその時だった。

『‥‥お母さん!!わんちゃんが!!』

大きな声が俺の頭上で叫んだ。ふわふわとした茶髪に大きな目。頭の中に人間が信じる天使というものが浮かびながら俺はゆっくりと目を閉じた。




優しく頭を撫でられて目を覚ませば彼女がいた。俺を見ると柔らかい笑顔をする。今までの人間達とは違う優しく笑顔を。

『私はA!ねぇ、私の家族にならない?』



天使はAというらしかった。人間であるのに。何故か彼女は安心出来ると思う自分がいて返事の変わりに手を舐めてみる。始めて人間にこんな感情を抱いた俺の舌はしょっぱさを感じた。俺が意見を承諾したと思ってくれた彼女は俺をゆっくりと抱き上げて言った。


『君はグルッペン!今から私の家族だよ!』

これが俺と彼女の出会い。他の人間とは違う大好きな彼女との。


グル「もし、本当の事を言ったりしたらお前は俺の事を嫌いなるか？」

なぁ、A

俺の本当の事を打ち明けても嫌いにならないでいてくれるか？

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