↓ ページ15
逃げ出して、ネコカフェへの帰り道も分からない。気づけば歩いて、歩いて、歩いていた。周りは俺の住んでいた都会とは違う田舎だった。途中で人間の姿になって雌に見つからない様に必死に逃げた。人間の姿で電車を使って猫カフェに戻ろうかと思ったが生憎金が無かった。
どうしたものか、人間を騙すべきか、俺なら出来るだろうと思っていた最中やった。
空き地で小さな人間の子供が遊んでいた。
その遊び相手は
俺と同じ匂いのする犬と豚やった。
不思議だった。俺と同じ匂いのする別の種族。
今まで同じ猫ですら見た事が無かったのに、それなのに種族が違うのが2人の異常。
しかも、そいつらの顔は幸せそうだった。
あんな幸せそうな顔をする生き物は本当に少ない事を俺は知っている。大体の奴等が不満を持って生きているのに。そいつらは不満すら無い幸せな顔だった。一瞬、頭が弱くて自分がペットである事を知らないのかと思ったが同じ異常な奴等の頭が弱いはずは無い。
頃く幸せそうに遊び終えるとそいつらはリードなんて着けずに帰って行った。まぁ、田舎だから出来る事なんだろうがそいつらは平然と少女に付いていく。何故逃げないんだろう。窮屈じゃ無いのかと。
気づけば俺はそいつらの後をこっそりと付いていった。
三日間、そいつらを見つめていた。
三日間見続けて知った事があった。
それは、女の子の名前はA、あの怖い顔をする赤目の犬がグルッペン、赤いマフラーを着けた豚がトントンという事。
そして、あいつらはAの前では人間の姿にならない事が分かった。Aの両親もAも眠った後で偶に人間になる。でも、俺があいつらが人間になったのを見たのは三日間の内一日だけだった。
それが分からなかった。
何故、人間の姿になって会いに行かない。
何故、人間に媚びらない。
心配してるのか、Aにばれる事を。
ばれて追い出される事を。
何が良いんだ、何がお前等を、俺と同じ異常者のお前等を繋ぎ止めているんや。
なんで、そんなに幸せそうなんや。
それが分かる日が来たのは案外あっさり来た。
あいつらを見続けて三日目が終わり、四日目になった時だった。
腹が減り、近所に居た人間の婆さんに媚びを売って飯にたどり着いた時だった。
『猫ちゃん、初めて見るお顔だね。』
ふわふわと嗅いだことの無い匂いがした。
思わず後ろを向けばAちゃんとグルッペンとトントンだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1870人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ここのつちゃん(プロフ) - 面白いなと思ったら知っている作者さんでした！！投稿頑張ってください！応援してます！ (2021年10月16日 14時) (
レス) @page38 id: c790a783a7 (このIDを非表示/違反報告)
さとう - 好き()更新頑張ってください! (2021年5月30日 7時) (レス) id: ecd79149f7 (このIDを非表示/違反報告)
きな粉 - 復帰おめでとうございます!!これからも頑張ってください！ (2021年3月31日 14時) (レス) id: c5ac09218a (このIDを非表示/違反報告)
きな粉 - 面白いです！更新頑張って下さいね (2021年1月11日 13時) (レス) id: c5ac09218a (このIDを非表示/違反報告)
欄 - 評価を５５６にしてしてしまった、、がんばえーーー！ (2021年1月1日 22時) (レス) id: 97c794166e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鏡
| 作成日時：2019年8月17日 16時
