召喚された料理人2

忠誠心 ページ13

さて、私は今困惑していた。おにぎりを作り終え、味噌汁を渡し、いただきますという言葉を若干ドヤ顔しながら教えるひとらん様に微笑むまでは良かった。うん、良かったのだが…。

「「我々一同！！A様に忠誠を誓わせていただきます！！」」


『…えっと、なぜ？』


嗚咽しながらもしっかりと叫ぶ軍人様方を前にして私はそう呟いた。そしてひとらん様。貴方はなぜ頷きながらおにぎりを頬張って居られるのですか？

『ひとらん様…？』

Ht「良かったね、Aちゃん。1歩前進できたね。あ、おにぎりおかわり。たくあんも食べたいな。」

『いや、ええ…？「おかわり」あ、はい。』

ひとらん様におにぎりを渡しながら、先程までの流れを思い出す。おにぎりや味噌汁をそれぞれ口にした途端、目を見開いて固まった。そして美味い美味いとおにぎりを食べ、たくあんを食べ、味噌汁を飲み始めた。そこまでは良いのだ。涙を流していたのが気になりもするが、ひとまず置いておこう。勢い良く食べ始めたために早くも完食してしまった彼らに『おかわりはありますからね』と私はにこやかに言ったのだ。すると集団の中で誰かが「女神だ…」と呟いた。そこまでは良…ん？女神？いや、もしかしたら気の所為かもしれない。


ブンブンと首を横に振り、今だに目の前で目を輝かせる彼らを見る。駄目だ。全く何故こうなったのか理解が追いつかない。

『あの、「なんでございましょうか!A様!」…その様付けは止めていただけますか？』

「「お断りさせていただきます！」」

元気良く即答された。声を揃えて言うほどに嫌なのか。チラリとひとらん様を見るが、やはり美味しそうにおにぎりを頬張っているだけで助けてくれそうになかった。これは駄目だな、と思いながら彼らに向き直る。

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