冷たい紅茶は角砂糖が多め

角砂糖2個 ページ4

Side…em

仕事から帰り、家の前で10分も家の様子を見続ける男を周囲はどういう目で見るだろうか。多分…いや、きっと不審者だと思うだろう。


だが、それは勘違いであって断じて違う。俺はこの家の主人だ。そして、家の中には愛する妻が待って居る。

じゃぁ、何故家に入らないのか？

答えは単純で難しい。









どうやって、妻と話そうか迷って居るだけだ。







まず、帰って来たら「ただいま。」と優しく言う。この時に重要なのは笑顔だ。日頃練習してきた笑顔を使うべき。夕食を妻と共に用意する。この時に食器を持ってやって洗い物もやる。そうすれば、きっと優しい夫だと思ってくれるはずだ。そして、最後に疲れた妻に紅茶を入れてやる。その為に駅前で美味いという焼き菓子を買ってきたのだから。


そんなに妻が可愛いのかと思われるかもしれないが、俺の妻は最高に可愛い。いや、最高どころじゃ無い。最上級に可愛くて優しくて料理も家事も上手い最上級の更に最上級をも超える妻だ。ふわふわとしたミルクティー色の髪は少し癖っ毛で、目も垂れ目なところが可愛すぎる。笑顔も可愛い。本当に他の奴等に見せたく無い。あんな可愛い笑顔を見たら何処の虫が付くやら知れたもんじゃないからな。少しゆったりとした服も素敵だし、繋を着て絵を描く彼女もキリリとして可愛いし格好いい。



だが、そんな妻を前に俺は致命的な失敗してしまったのだ。

それは、結婚を申し込む時だった。緊張の余り何も話すことが出来ずにお見合い終えてしまった俺は、頭が蒼白な状態だった為か気づけば「俺と結婚しろ」など花も何の用意も無くムードも無い最悪な状態で言ってしまったのだ。本来ならば段階的に事前に調べていた彼女とのデートを楽しみ、完全に墜とした状態で結婚を申し込む予定だったのに。しかも、感圧的な態度は確実に彼女を怖がらせた事だろう。

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