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「げん、しつう……？」
「あぁ。失ったはずの四肢が痛む後遺症だ。怪我で引退した兵士の中にも苦しめられた者がいたそうだ」
「じ、じゃあ、ルアナさんは、あの日からずっと……」
「……みんなには言わないでほしいと。心配をかけたくないと、ルアナさんが言わなかったんだ」
そう説明するのはユーリで、明かされた彼女の苦しみに言葉を失ったのはコニーとジャン。ミカサとアルミンも、強く身体を強張らせる彼女とその膝を摩るベンを見つめ、奥歯をそっと噛んだ。
「どうにも、ならないんですか…？」
「いつもなら薬で何とかしてるんだが……」
とユーリが控えめにあたりを見回し目を伏せた。
地下牢に水は用意されていなかった。紅茶はあるが、薬を飲むには熱すぎる。
「…だい、じょうぶっ…。その内っ、治まるから…っ。だから、心配しなくてもっ……」
「ルアナさん、今はちゃんと息を吐いて」
ベンの落ち着きようと慣れた手つきに、ジャンは嫌でも理解した。
あぁ、これがこの四年の間に、何度も、何度もあったんだ。その度に薬を飲み、痛みが治まるまで耐える。きっと、俺たちと顔を合わせている時にもあったかもしれない。そんなこと、俺たちには一切気づかせまいとひた隠して…。どれほどの精神力があれば、そんなことができるんだろうか。
「あの……、」
その時、立っていたジャンの腰元で小さな声がした。
柔らかく丸みのある声。それはブラウス家の一番小さな女の子だった。
「おみず、どうぞ…」
女の子はこれまた小さな両手で、その手には少々大きいアルミ缶を持ち上げた。お出かけ用の水筒だ。子供だったから、イェレナもこれは見過ごしたのだろう。
ジャンは膝を折ってそれを受け取った。
「…いいのか？」
「うん。おねえちゃんが、こまっているひとがいたら、たすけてあげるんよって、いってたから」
おねえちゃん。
温かいような、痛いような何かが胸を通り抜けた。
「…そうか」
ジャンがそう言って女の子の頭をそっと撫でると、女の子は父親の方へと走っていった。
その小さな後ろ姿を見送り、ジャンは膝を起こしてルアナの元へその長い脚を向けた。
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なぎさ(プロフ) - 何回も見返すほど大好きです！！更新楽しみにしてます！ (11月21日 13時) (
レス) @page33 id: 548ee16a42 (このIDを非表示/違反報告)
春花(プロフ) - こちらのシリーズとっても大好きでいつも更新を楽しみにしてます‼︎完結まで頑張ってください、完結まで応援させてください‼︎ (11月5日 16時) (レス) id: 27efe983cc (このIDを非表示/違反報告)
ああ - このシリーズ大好きですっ (10月11日 23時) (レス) @page11 id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
愛 - ずっと応援します‼︎大好きです！ (10月10日 15時) (レス) @page11 id: 0f2e86f85b (このIDを非表示/違反報告)
おむすび(プロフ) - このシリーズマジで面白くて大好きです！更新頑張ってください！応援してます！ (8月9日 21時) (レス) @page1 id: 5b99419290 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこもち
| 作成日時：2023年8月2日 9時
