25 ページ26
「俺、やっぱり戻ります。」
「っ、！」
そう言い切ったベンを止める者も、どこにと聞く者もいなかった。
「すみません、ユーリさん。みんなも。…でも、俺がすべきことはここにいることじゃない気がするから。それに、これは俺の推測に過ぎないんですけど、————」
最後に僅かな可能性を言い残し、ベンは彼らに一つ敬礼をすると、イェレナが消えた扉へ走っていった。すぐにその背中は見えなくなり、ジャンの手には託された雷槍だけが残った。
「っ………」
「…今は、あいつを信じよう」
「はい…、」
ユーリは一つジャンの肩を叩くと、火の粉が上がる市街地を見下げた。
「俺たちはやることをやるだけだ。行くぞ！」
「「「了解っ！！」」」
最も鋭く俊敏なワイヤーの音が五つ、火の燃え盛る戦場に解き放たれて数分。正直なところ、戦況は最悪だった。
獣の投擲とマーレ軍による発砲で空中戦は圧倒的不利。そんな戦況下だというのに、まともに指揮を執ることができる者の腕には黒い腕章が巻かれている。イェーガー派もそのほとんどが編入組と新兵で頼りなさは否めない。
ジークが投石で撃ち落とす飛行船が空から降ってくる中、彼らは何とかエレンに近づこうとするも、敵の数が多すぎてまともに近づくこともできない。
「おいっ、アレ！！」
「なっ、！」
コニーが指差した先で、エレンに向かっていった顎の巨人がジークの投石によって吹っ飛ばされた。
エレンは片足を引きずりながら、一歩、また一歩と獣のいる壁に向かっている。やはり彼らの目的は一貫して接触のようだ。あと少しでそれが果たされる——その時だった。
巨大な砲撃音が壁の上で炸裂し、瞬きした瞬間には獣の項が吹っ飛んでいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 708人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なぎさ(プロフ) - 何回も見返すほど大好きです！！更新楽しみにしてます！ (11月21日 13時) (
レス) @page33 id: 548ee16a42 (このIDを非表示/違反報告)
春花(プロフ) - こちらのシリーズとっても大好きでいつも更新を楽しみにしてます‼︎完結まで頑張ってください、完結まで応援させてください‼︎ (11月5日 16時) (レス) id: 27efe983cc (このIDを非表示/違反報告)
ああ - このシリーズ大好きですっ (10月11日 23時) (レス) @page11 id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
愛 - ずっと応援します‼︎大好きです！ (10月10日 15時) (レス) @page11 id: 0f2e86f85b (このIDを非表示/違反報告)
おむすび(プロフ) - このシリーズマジで面白くて大好きです！更新頑張ってください！応援してます！ (8月9日 21時) (レス) @page1 id: 5b99419290 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんこもち
| 作成日時：2023年8月2日 9時
