1 -The Condemnation- ページ2
「あぁ、そうだ。奥様にはお伝えした方がいいですね。」
一体、何を言っているのか分からなかった。
「あなたのご主人、リヴァイ・アッカーマン兵士長ですが、」
一瞬、なんて言われたのか理解できなかった。
「…………死にましたよ。」
今、なんて——……？
「リヴァイが、死んだ………？」
そう繰り返すのが、精一杯だった。
「ルアナさん………？」
誰かに呼ばれた気がしたけど、それに返す声が出ない。
「ルアナさんっ…！」
あれ…。なんか……、目の前が真っ暗に——。
「——ルアナさん！！！」
「っ、！！」
強く肩を揺さぶられてやっとルアナは我に帰った。なぜか、呼吸が大きく乱れていた。
「…………っ」
「おいイェレナ！！」
ジャンが格子の外に向かって叫ぶ声が遠くに聞こえる。視界に見え隠れする黒い髪に、肩を揺さぶっているのがベンだと気づいた。
「あんのクソ女っ……」
もうイェレナの姿は無い。恨めしげに階段を睨みあげるユーリの拳から僅かに血が滲んでいた。
「兵長が死んだってそんな……」
「コニーやめろ。言うな」
「け、けどよっ、だって、ありえねぇだろ…っ」
コニーはジャンの背中に向かって言った。ジャンは強く奥歯を噛み締め、鉄格子を乱暴に掴んだ。
「ぐっ……。だから…っ、それ以上言うなっ…！」
ジャンの震える背中に、コニーはそのまま俯いてしまった。
ルアナも乱れた呼吸は落ち着いたが、頭は何も追いついていなかった。情報が、イェレナの言葉が、底の抜けたバケツのように頭をすり抜けていく。
だめだ。落ち着け。ここで私が取り乱すわけにはいかない。考えろ。どうする。次に、何をすればいい。あれ、イェレナは何を言ってたっけ…。リヴァイが死んだ……じゃなくて、その前だ。その前……。えっと、えっと…、あれ……、なんて——。
「ルアナさん、」
「………！！」
やけに落ち着いた声がごちゃごちゃになった思考にすとんと入り込んできた。
「ルアナさん、落ち着いて。一回ゆっくり深呼吸しましょう」
ベンが目線を合わせるように膝をつき、ルアナを優しく見上げていた。焦燥感に満ちたこの地下牢で唯一静かな声に、また乱れ始めていたルアナの呼吸が再び落ち着いていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 708人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なぎさ(プロフ) - 何回も見返すほど大好きです！！更新楽しみにしてます！ (11月21日 13時) (
レス) @page33 id: 548ee16a42 (このIDを非表示/違反報告)
春花(プロフ) - こちらのシリーズとっても大好きでいつも更新を楽しみにしてます‼︎完結まで頑張ってください、完結まで応援させてください‼︎ (11月5日 16時) (レス) id: 27efe983cc (このIDを非表示/違反報告)
ああ - このシリーズ大好きですっ (10月11日 23時) (レス) @page11 id: 951a2a07c6 (このIDを非表示/違反報告)
愛 - ずっと応援します‼︎大好きです！ (10月10日 15時) (レス) @page11 id: 0f2e86f85b (このIDを非表示/違反報告)
おむすび(プロフ) - このシリーズマジで面白くて大好きです！更新頑張ってください！応援してます！ (8月9日 21時) (レス) @page1 id: 5b99419290 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんこもち
| 作成日時：2023年8月2日 9時
