19 -Hand to Hand- ページ22
もくもくとした柔らかな雲が辺り一面を覆って、その中心から眩しい光が差し込んでいる。ただ、その中を歩いているような、漂っているような、そんな感覚だ。
光は強くこちらを照らしているのに、出口は一向に見えず、その光に近づくことさえできない。
雲の上を飛んでいる。夢のはずなのだが、まるで現実のような浮遊感。落ちることもなく、ただ前へ漂う。
暖かくも、冷たくもない雲の中。進んでも進んでもその光には辿り着かない。それなのに光の強さは進むごとに増していき、思わず目を瞑る。
それでもなぜか、最後には手を伸ばしてしまう——。
「ん…………」
ゆっくりと目を開くと、木目の天井に向かって伸びる自分の腕が映った。夢を見ていたようだ。
「……………まただ。」
彼女は気怠げに身体を起こした。
部屋の掃除の途中で眠気に誘われ、机の上でうたた寝をしてしまったのだが、どうやら寝ている間に床に落ちていたらしい。背中が地味に痛いのはそのせいだろう。
何か違和感を感じるのか、彼女は額を擦りながら床から立ち上がり、眠気まなこのまま、開けっ放しの窓辺へ寄った。
掃除をする時は窓と扉を開ける。誰かに聞いた。誰からかは、覚えていない。
先ほどまで眠っていたせいで夕日がやけに眩しく、彼女は目を細めて外を見下ろした。
ジークの部屋で秘密のお茶会を開いてから数日。今日は祭りの日だ。
参道を埋め尽くす屋台のカラフルな屋根に旗めく装飾、威勢のいい呼び声と美味しそうな食べ物が路上を埋め尽くす。屋台の間を人が行き交い、その群れは途切れることを知らない。軽快な音楽と人々の歓喜する声が、軍本部の隅っこにも微かに届いていた。
「………本当に、飛ぶことが、できればいいのに」
彼女はそれをじっと見つめた後、小さく欠伸を噛み殺した。
「あれ、ルアナちゃんは行かなかったの？」
とそこに、これまた開けっぱなしになっていた扉からジークが紙袋を手に入ってくる。彼女は開けっぱなしにしていたことを後悔した。
「ライナーやピークちゃんたちも行っているみたいだ。まあ大方、ライナーはみんなの財布になっているんだろうけどね」
彼女は窓から目を離さず、ジークの話にも答えることはない。
彼女からの返答がないのはいつものことなので、ジークは気にすることなくテーブルについた。
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あんこもち(プロフ) - 無名さん» コメントありがとうございます。確かにマーレ急襲時にはスカーフを巻いていませんが、リヴァイはやはり通常時にはスカーフを巻いていることが多いのでそのように表現しております。分かりにくく申し訳ございません。 (11月19日 11時) (
レス) @page35 id: d1838a7b16 (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 854年のリヴァイさんは最初の方だけスカーフをしていなかったと思いますが... (11月19日 0時) (レス) @page35 id: 633d257dbd (このIDを非表示/違反報告)
愛 - 最高スギィ！もう毎朝学校行く前に読ませて貰ってます‼︎これからも頑張って下さい応援してます❤️ (5月15日 2時) (レス) id: 0f2e86f85b (このIDを非表示/違反報告)
んご - めっちゃ最高です！更新頑張ってください！！ (4月30日 7時) (レス) @page6 id: 2dc34b573e (このIDを非表示/違反報告)
高橋 - 頑張ってください！ (2023年4月1日 23時) (レス) id: 2973651174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこもち
| 作成日時：2023年3月22日 16時
