0.0 -After Story- ページ1
目を開くと、視界いっぱいに広がる澄み切った青い空。白い雲が穏やかに浮かび、頬を撫でる風は暖かく春の香りを運んでいる。
そっと体を起こした。
「あれ、私……」
あたりを見回せば、左にはシガンシナ区の街並みが、そして右側には城壁都市の街並みが広がっている。どうやら壁の上で横になっていたらしい。
その街並みは綺麗なままで炎も煙も何もない。ただ静けさが街を覆っていた。
「っ、みんなは…！」
「——無事、生きて帰ったよ。」
「えっ…？」
後ろを振り返ると、父親のような優しい顔が私を見下ろしていた。
「エル、ヴィン…」
「ルアナ、よく頑張ったな」
エルヴィンの目線を追うと、遥か遠くに数頭の馬の列が見える。その先頭で、見慣れたポニーテールと短く切り揃えられた黒髪が風に靡いていた。
……良かった。
ほんの少しの寂しさと、やり切ったという安心感。彼らの背中が地平線の向こうへ消えて小さく口角が上がる。
「ルアナ、」
鼓膜を揺らす、懐かしい声。
「っ、エマ……っ」
「お疲れ。——副団長」
「っ、うん…っ」
エマ特有のくしゃっとした目元の笑顔に、鼻がツンとした。
「見てたよ、ちゃんと。」
「……うん、」
「…あんた、かっこいいじゃん」
「っ、うん…っ」
「……ありがとね。」
エマの腕の中はやっぱり暖かい。懐かしい彼女の温もりをそっと吸い込んだ。
その頭をしゃがんだエルヴィンがそっと撫でる。
「あとはハンジたちに託そう」
エマの腕の中で小さく頷いた。彼女に引っ張られるようにして立ち上がると、懐かしい顔がこちらに微笑みかけていた。
エルガーさん、トーマンさん、アルドさん、ウィノラさん、ハンス、レイ、リン、ミケ、ナナバ——。
みんなが笑っている。目元がじんわりと熱くなった。
「さ、行こ」
エマが少し先でこちらへ手を伸ばしている。その手を取って、みんなと一緒に——。
「うん。」
そう一歩踏み出したはずの右足は、動かなかった。
「え…………」
ハッと足元を見ると、右足首にまとわりつく鋭い爪の毛深い指。それを認識するより先にぐいと後ろに引かれた。
「ぁ……！」
身体はゆっくりと後ろに傾き、足場を失った身体はあっという間に落ちていく。手を伸ばすも、遠くエマには届かない。真っ青だったはずの空は赤黒く燃えていた。
そして視界は途端に真っ暗になり——。
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あんこもち(プロフ) - 無名さん» コメントありがとうございます。確かにマーレ急襲時にはスカーフを巻いていませんが、リヴァイはやはり通常時にはスカーフを巻いていることが多いのでそのように表現しております。分かりにくく申し訳ございません。 (11月19日 11時) (
レス) @page35 id: d1838a7b16 (このIDを非表示/違反報告)
無名 - 854年のリヴァイさんは最初の方だけスカーフをしていなかったと思いますが... (11月19日 0時) (レス) @page35 id: 633d257dbd (このIDを非表示/違反報告)
愛 - 最高スギィ！もう毎朝学校行く前に読ませて貰ってます‼︎これからも頑張って下さい応援してます❤️ (5月15日 2時) (レス) id: 0f2e86f85b (このIDを非表示/違反報告)
んご - めっちゃ最高です！更新頑張ってください！！ (4月30日 7時) (レス) @page6 id: 2dc34b573e (このIDを非表示/違反報告)
高橋 - 頑張ってください！ (2023年4月1日 23時) (レス) id: 2973651174 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこもち
| 作成日時：2023年3月22日 16時
