73 ページ24
正直毎日のように掃除しに来ているため大して綺麗にするものもないが、この時間が一番心の安らぐ瞬間だった。
それからしばらく掃除をし、会議の時間も近づいてきたため、今日はここまでと切り上げる。目線を上げると、ちょうど朝陽が慰霊碑の向こうに差し込み、その眩しさにリヴァイは思わず目を細めた。
『ほんと、リヴァイの綺麗好きはもう病気だね』
『ごめん、また散らかっちゃった…』
『はは、やっぱりリヴァイが掃除した方が綺麗だ』
生前、頻繁に彼女の自室を掃除しに行っていた頃をふと思い出したリヴァイは小さく笑みを零す。
お前はすぐ散らかすからな。
あの頃は掃除しに部屋を訪れる度、呆れたようにため息をついていた。本当に何でこうも一瞬で散らかるのか、リヴァイには理解不能だったのだ。
今ではそれさえ懐かしさと愛しさで胸が疼く。
いまだに過去に囚われている自分自身に嫌気が差し、リヴァイは小さく息を吐いた。そしてそろそろ戻らねぇとな、と懐中時計を開き慰霊碑を見上げる。
――また明日な。
そう心の中で声をかけ、慰霊碑に背を向け本部へと足を進めた。
彼の背中を初夏の温かな風がふわりと撫でた。
――うん、また明日ね。リヴァイ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1313人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あかまる(プロフ) - 素敵な作品で終盤はずっと泣いてました…。この作品に出会えてよかったです。ありがとうございます。 (12月31日 10時) (
レス) @page32 id: eb52eba48a (このIDを非表示/違反報告)
ああ - 最後めちゃくちゃ泣きました。面白かったです！！ (9月8日 23時) (レス) @page33 id: d425432768 (このIDを非表示/違反報告)
ルリ(プロフ) - めちゃくちゃ泣きました…… (2023年4月3日 0時) (レス) @page32 id: f171f4e286 (このIDを非表示/違反報告)
かりおすとろ(プロフ) - 細かいキャラ設定、原作への忠実さ、どれも素晴らしく、キャラクター・作品への愛が非常に伝わってきました。とても素人は思えぬ構成とキャラ設定、まるで公式作品を読んでいるようでした。結末も原作らしくて好きです。素晴らしい作品をありがとうございます。 (2023年3月31日 23時) (レス) id: 33ef6f580f (このIDを非表示/違反報告)
輝音翔(プロフ) - この作品何回も読み返すぐらい好きでまさかの続編ですか。ありがとうございます！とても素敵な作品の続きが見れるなんて… 応援してます！頑張ってください！ (2023年3月22日 20時) (レス) id: 0627dd355a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんこもち
| 作成日時：2022年9月10日 8時
