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彼らがそうしていたのはほんの数秒で、すぐにいつもの距離に戻っていた。
そして小さく頷き合うと、エルヴィンは馬を連れて最前線へ、ルアナは新兵たちの前へと互いに背を向けて歩いて行く。その背中にはしっかりエルヴィンから託された大きな翼が揺れていた。
「ルアナ、」
作戦前、もうこのタイミングしか話せる時はないだろう。リヴァイは咄嗟に彼女を呼び止めた。
「ん？どした？」
幸い、建物の影で新兵には見えない。
リヴァイはそっと彼女の頭を自分の肩に抱き寄せた。
「…………」
「…………」
ただかける言葉は見つからない。
俺が守らなくたってこいつは十分強い。俺より強いこともある。だが、どうしても守りたい。こいつだけは失うわけにはいかない。それでも俺たちは、それぞれで戦わなければならない。
絶対に何かしら状況が変わる。それが分かっているからこそ、リヴァイはただ抱きしめることしかできなかった。
それはルアナも同じで、そっと彼の背中に腕を回した。
私よりも小さな身体、されど私より何倍も何十倍も強い「人類最強の兵士」。
どうか次に顔を合わせる時も、温かいままでいて――。
どちらからともなく、そっと身体を離した。
「…行こう」
「あぁ」
やはりこれだけで十分だ。交わす言葉などいらない。そんなものなくとも、信頼という糸で繋がっている。
ルアナの胸元でリングが小さく揺れた。
さあ、もう時間が無い。
ルアナは意を決して新兵の前へ足を進めた。
「総員！注目！」
新兵たちが馬に乗り震えながらも作戦開始の合図を待っている。ルアナは大きく息を吸い込んだ。
「これより騎馬突撃最終作戦を開始する！！同時に私とリヴァイ兵士長による獣の巨人討伐作戦も開始となる！…いいか。巨人に屈するな！巨人を許すな！――人類に、心臓を捧げよ！！」
「「「っ、ハッ！！！」」」
「っ、エルヴィン・スミスを先頭に、総員！突撃――！！」
ルアナがブレードを背後の獣の方へ突きつける。作戦開始の合図とともに、新兵、そしてエルヴィンが雄たけびを上げて一斉に巨人に向かって走り出した。
これが、最後の巨人対戦になりますように。
全ての騎馬が走り抜けたのを確認した後、ルアナはもう片方のブレードを引き抜いた。
私たちも、行こう。
ルアナとリヴァイは最後に視線を交わすと、それぞれ背を向けてアンカーを放った。
ルアナは左へ、リヴァイは右へ。
人類の命運が今、左右に分かれ、そして揺れ始めた。
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蒼空 - 夢主死なないで泣 (2022年9月10日 21時) (
レス) id: e5ebd447b1 (このIDを非表示/違反報告)
まんごすちん(プロフ) - ひぇぇぇ…胸が…締め付けられる…続きが…気になる…ｸﾞﾌｩ (2022年9月10日 0時) (レス) @page49 id: bff1e932e9 (このIDを非表示/違反報告)
もちち(プロフ) - どどどどどどうなってしまうのか気になって夜しか眠れません…！！！！初コメ失礼しました、！！！ (2022年9月4日 23時) (レス) @page44 id: 65f0ff2c55 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 夢主は死なないですよね？生きてほしい… (2022年9月2日 22時) (レス) @page39 id: ca2fa3b081 (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - もう何度泣いたか分かりません(*_*)本当に素敵な小説をありがとうございます。是非最後まで完走してください（涙）応援しています！毎日の楽しみです。 (2022年8月29日 21時) (レス) id: 303cf5547a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこもち
| 作成日時：2022年8月1日 9時
