20 -The Choice- ページ22
「っ、………」
ひゅっと喉が鳴る。
呼吸が浅い。
酸素が薄い。
息が苦しい。
「イザ、ベル……」
霧の中、悪い視界でも分かる、恐怖で固まったままのイザベルの、首。
《グワァァァァ！！》
そして――。
「ぐっ、………」
巨人に腕を食われ引きずられる、ファーランの上半身。
苦しい。
痛い。
寒い。
やめろ。
嘘だ。
これは夢だ。
現実じゃ――。
《グファア…》
その巨人と目が合った時、俺の中の何かが目覚めた。確かに、そう感じた。
そこからの記憶は、正直曖昧だった。
「あ"ぁぁぁぁぁぁ！！！！」
切った。切って、切って、切りまくった。項がどうとかはどうでもよかった。その巨人の肉という肉を、とにかく切りまくった。
「う"ぉあ"ぁぁぁぁぁ！！！」
血が飛び散って汚ぇとか、そんなのどうでもよかった。
あいつらを…、ファーランとイザベルを、殺したこいつが許せなかった。いや、許さないとかそういうことじゃねぇ。とにかく、八つ裂きにしたかった。
視界が晴れ始めたとか、雨が止んだとか、この時の俺には情報にもならなかった。目の前のこいつを、切って、切って、切りまくって、あいつらが受けた痛みの何倍もの痛みを味わわせて。
だから、気づいた時にはこいつは絶命していて、俺は愕然と座り込んだまま、蒸気を発している目の前の巨体を、ただ見つめていた。
返り血をたくさん浴びたとか、ブレードの刃がボロボロだとか、そんなことは俺の頭にはなかった。
ただ、もうあいつらは帰ってこない――その事実だけが、俺の頭を埋め尽くしていた。
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p(プロフ) - 一気にここまで読みました！読んでいてめちゃめちゃおもいろい！止まりませんでした！続きとっても楽しみにしてます！ (2021年9月4日 18時) (
レス) id: cd4b92f726 (このIDを非表示/違反報告)
シエル先生 - 胸がドキドキするリヴァイの小説を読めてとても楽しいです更新頑張ってください (2021年8月18日 2時) (レス) id: 7d890425dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこもち
| 作成日時：2021年8月6日 12時
