Name of Love ―Ⅱ-2― 《進撃の巨人》 (ページ19)

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side story④ ページ19

【お兄ちゃんとお姉ちゃん】

ルアナには、家族がいる。

新兵の時から交流のある、父エルヴィン。

調査兵団に入団した頃、直属の上官だった兄ミケ。

訓練兵時代からの同期でありながら、頼りになる年上の姉ナナバ。

同じく訓練兵時代の同期で、最も気の許せる双子の片割れハンジ。

そして、歳は上だが一部下であり、今や恋人となったリヴァイ。

本当に、家族のような関係だった。彼らはルアナにとって、欠かせない存在である。

その兄と姉が、死んでしまった。

兄ミケとの出会いは、調査兵団に入団した翌日だった。当時すでに分隊長であったエルヴィンの下、ミケ班所属となり、初めて顔を合わせた時のことはよく覚えている。

「ルアナ、お前はミケ班所属だ。ミケ、色々と教えてやってくれ。……………おい、ミケ。入団したての新兵の匂いを嗅ぐのはやめろ。」

初日に顔を合わせた途端、首筋に鼻を寄せてくるものだから、初めの印象はいいものではなかった。

「セクハラだと訴えられても知らんぞ」

「フッ………」

後にそれが癖だと知るのだが、それにしても人の匂いを嗅いで鼻で笑うというのは不審感極まりない。これが自分の直属の上官だと思うと、先が思いやられるのも致し方ないだろう。

実際、本当に変な班に入れられたと心底絶望したことを、今でも鮮明に覚えている。

ルアナの中で完全に不審者認定されたというのに、ミケは薄く笑いながら、開口一番こう呟いた。

「………素質、あるな」

「っ！」

「………そんなことが分かるのか？」

この時の「なんだそれは」というエルヴィンの顔も、なんだかおかしくて今でも忘れられない。