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「まず、君に聞かれていたことに答えよう」
「………ん？」
「なぜ、あの時君に指揮を任せたのか、という問いだ」
あぁ、とルアナは思い出したように声を漏らす。確かに、あの戦場でエルヴィンに尋ねていた。
「それは、君の実力を見るためだ」
そして今はなんとなく、エルヴィンの意図は感じ取っていた。
「今回、私は片腕を失った。私が団長として上に立つのも、もうじき限界を迎えるだろう」
もう、ルアナにはなんの事か分かっていた。だから、エルヴィンはリヴァイでさえ外に出したのだろう。
「当然、私のあとを継ぐのは副団長である君だ。ルアナ」
だから、団長として務まるかどうかを見たかったと。
「それで、その結果は？」
ルアナは表情ひとつ変えず、エルヴィンに問いかけた。エルヴィンは迷う様子なく、すぐにこう言った。
「――合格だ」
果たしてあれが合格だったのだろうかと、一瞬ルアナの脳裏に疑念がよぎったが、すぐにそれは振り払った。
エルヴィンが言うのだ。彼の目が間違えることなどない。それはルアナ自身がよく知っていた。
「あの巨人の数と惨状をまとめあげたのは、間違いなく君だ。正直驚いたのは私の方だよ」
そしてエルヴィンも、もうその覚悟が彼女にあることをしっかり分かっていた。自分が巨人に捕まったあの時、すぐに先陣を切っていった彼女の姿を見た時から、迷いはなかった。
「それで君にも考えておいてほしい。次の副団長を」
「………それはハンジしかいないでしょう」
「あぁ、私もそう思う。だが、その次の候補もだ」
「次？」
ルアナは顔を上げ、エルヴィンを見つめ返した。
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作者名：あんこもち
| 作成日時：2021年7月28日 19時
