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初めて食べたケーキはとても甘くてふわふわしてて
そしてとても優しかった
沢山感じてきた多くの恐怖より
あの日の優しさを、この先一生忘れたくないと思った
秋風もだいぶ冷たくなった
この窓から花を見ることはなかったな、とAはゆっくり開けていた窓をしめる
綺麗に畳まれた布団
どこかさっぱりとした室内
肩にかけた小さめの鞄にはここで過ごしてもらった生活用品が入っている
他にAの私物は特にない
あの廃病院にならそれと形容してもよさそうな物はあるだろうが全てが拾い物だ、特に未練はない
「A」
「……」
今日、Aはこの病室を出て雄英の職員寮に移動する
やっと安心できると思えた場所からの離別に少しの寂しさと
「行こう」
「…うん」
優しく手を差し伸べてくれる人のいる所へ行けるという安心感がAの心を渦巻いていた
差し出してくれた轟の右手はほんのり冷たくて
でも、繋いだ傍から暖かく感じた
スライドの扉を抜けて、ビクビクしながら1人歩いた廊下を進み、階段を降りる
かくれんぼをした中庭とは反対を進み、途中見覚えのある子供が手を振ってくれていた
恐る恐る手を振り返せば"また遊ぼうなー！"と言う声が返ってきた
「仲良くなったのか？」
「…中庭で遊んで、もらった。かくれんぼ」
「…そうか」
年齢差を考えるなら遊んであげたと言うべきか迷ってやめた。それに気づいたのか少し笑いを含んでた轟を恥ずかしさから睨みつける
嘲笑でも嘲りでもない、柔らかく口元をゆるめる轟は特に何も言わなかった
だからAも何も言わない
いつかあの日を楽しかったと思えたらいいと思う
「あ、轟くんにAくん」
「……」
そうして広いエントランスに辿り着くといつも通りの穏やかな笑みを浮かべる温田と相澤の姿
轟の手を離しAは温田の元に歩みを進める
今日で、お別れだ
温田の腕には小ぶりなでも鮮やかな花束があった
「退院おめでとうございます、Aくん」
「…ありがとうございます」
そう言って渡された花は淡い紫の花弁を大きくひらいた花菖蒲と小さな白いカスミソウ
Aは花に詳しくはないが大きく主張しすぎない感じが好きだなと思った
その柔らかい香りにふっと口元が緩む
それは今見せられるAの無意識の笑顔
温田は目を見開く
儚げに微笑むAは今までで1番綺麗で自然で
未来を見ていると思えた
何人も見送ってきた温田だが
今日ほど別れが惜しいと思ったことはない
．
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みけいぬこ(プロフ) - 結華さん» コメントありがとうございます！こちらは男主人公として少し甘い感じで進めて行こうと思っています！（すっっごいBLにはならないと思うのですがカップリングとしては轟落ちです）優しいコメント嬉しいです。更新頑張っていきます！ (2022年9月12日 17時) (
レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
結華 - ほんとに、、本当に好きです…！！これから轟くんと主人公がどうなっていくのか楽しみです！！！ (2022年9月12日 11時) (レス) @page50 id: e2320a25d7 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - 華さん» コメント＆見ていてくださってありがとうございます！！！！嬉しい！その言葉でお疲れも吹っ飛びます( ˃ ᵕ ˂ )これからも楽しんでいただけるよう聞いていきますね！ (2022年9月6日 23時) (レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - 更新お疲れ様です‼︎作者様の作品全部大大大好きで毎日見てます‼︎👀これからも頑張ってください！！！！ (2022年9月6日 19時) (レス) id: d1e7a9b3ce (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - せつなさん» コメントありがとうございます！読んでいただけてるの凄く嬉しいです！！疲れも飛んできますね( ᵒ̴̶̷̤ ᵒ̴̶̷̤ )✧*。完結まで書ききりたいと思います！ (2022年9月5日 23時) (レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年8月18日 11時
