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「……すいませんね、やっぱ少し話聞かせてもらっていいですか？」
「……」
聞こえてきた知らない声
治崎と何か話をしているようだが
絶不調で立ってるのもやっとなAには
会話の内容までは聞き取れない
霞む視界の中うっすら見える翻る赤
「行くぞ…」
「っ……」
ぐんと引かれる両腕にもつれそうになる足をなんとか動かしついていく
「(どこに、向かってるんだ…)」
それを教えてくれる人がいる訳もなく
ただ引かれるままに行く先に
自分の意思関係なく
ギシリギシリと心が悲鳴をあげる
どこにいても自分の居場所はなくて
自分という価値はどこにいても同じ
「治崎！！」
「！っぅあ……っく…！」
メキメキという音と勢いのある声
そして思わぬ力にその場に無様に転んだ
「何で…来たらダメだよ！あの人に殺されちゃう！」
緊迫してるであろうこの場に似つかわしくない高い声
「大丈夫！！俺が君のヒーローになる！」
「……ヒー、ロー…」
薄ら見える景色には
1人の少年とその人に抱かれる幼い少女
その姿に、あの子が救われる存在なのだと理解した
彼はあの少女のヒーローなのだと言う
「(ヒーローに、選ばれて初めて、救ってもらえるのか)」
ようやく合点がいった
今まで誰にも助けてもらえなかったのは
自分が選ばれなかったから
むしろ、ヒーローというだろう人に攻撃をされる自分は
選ばれることなどない
つまりそれは、この地獄が自分の居場所で
自分は救われる存在ではないということ
こんなに苦しいのに、
この世界にとっては特に変なことではないようだ
ふ、とAの身体から力が抜ける
ずっと疲れていた
生きることに、抗うことに……
鎖で繋がっていた治崎は、Aから抵抗が消えたのを感じていた。個性の反動と精神的に限界だったA、ここに来てようやくそれも目の前のヒーローの言葉にほぼこちら側に落ちたとみていいだろう。ヒーローが触れた頬に蕁麻疹が浮かぶも苛立ちの中に小さな愉悦が芽生え、鎖を遠慮なく引く
抵抗をなくした身体は簡単な宙を舞い、そのまま片腕で抱きとめる
「戻ってこい、壊理。殺されちゃう？何度言ったらわかるんだ」
Aがヒーローに落ちることはない
その確信が持ててるからこそ強気に言葉を交わす
すぐに地面が粉々に砕けた
．
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みけいぬこ(プロフ) - ラリってるもののふさん» コメントありがとうございます！冒頭まで見ていただいていて嬉しい( •̥ •̥ )私の趣向が楽しんでいただけてるなら本望です！ (9月8日 8時) (
レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
ラリってるもののふ(プロフ) - 地獄すぎてここの冒頭のあらすじで「やっと光つかむんかっ！」と感動して声が出ました…みけいぬこさんのお話他のも好きです、可哀想は可愛い！！ (9月7日 21時) (レス) id: c2e111fdc8 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - まおさん» ありがとうございます！書きかけのものを非公開忘れておりました^^;夜に上げ直します！ (2022年7月11日 16時) (レス) @page43 id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
まお - いつも更新楽しみにしています！気になったのですが最新話が4話の次に6話になっていて多分お話も飛んでるかと🥺 (2022年7月11日 16時) (レス) id: 54eeb56af7 (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - mikittyさん» 月曜にまた更新しますね！ (2022年7月10日 23時) (レス) id: b16ff3489c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年6月17日 14時
