♢spring ページ15
春
桜舞散る中を真新しい制服を着た1年生達が気持ち新たに学び舎に足を踏み入れる
長たらしく有難くもない校長の祝辞を右から左に流し、“ご入学おめでとう“のブローチを風に揺らし綺麗に整えられた新しいクラス、そして新しい自分の机に思いを馳せる。
1年間よろしくねとクラスメイト達は少し緊張した様子で言葉を交わし、中学からの知り合い達は同じクラスの喜びを分かち合う
「あ！金丸信二くんだよね！同じクラスだ！」
「あー片岡……さんか。よろしくな」
そんなに珍しくもない名字なのに、それが野球部の監督と同じと言うだけで同年代なのに呼び捨ては憚られて間を開けてから敬称をつける。クラス分けされたばかりで同中では無いかぎり当たり障りない交流をするのだからさん付けで力の上下が決まるわけではないのだが、今まで同学年相手にさん付けをし慣れてない金丸はむず痒い心地がした
「私の事Aでいいよ！監督呼び捨てしてるみたいになるって洋ちゃんが言ってたからみんなAって呼ぶよ！」
「…洋、ちゃん？」
「あ！じゃなかった！洋ちゃん先輩！です！」
「…(そういえば小湊先輩に敬語がどうのって言われてたっけ、こいつ)俺に敬語はいらねぇから」
「そうだった！ありがとう！しんくん！」
「しんくっ…！？！」
にぱと無邪気な笑顔を向けて女子に呼ばれたAはそのままぱたぱたとかけていってしまって、金丸の驚きには気づかなかったようだ。第一声こそ金丸くんだった呼び名は数言言葉を交わしたらしんくん呼びになっており、今までそうやって名前を(しかも女子に)呼ばれたことのなかった金丸は不覚にも赤面してしまったのである
「おぉ！！金丸同じクラスかぁ！！って、どうした？顔赤いぞ？」
そこにわっはっはとどこぞの馬鹿大将かと言わんばかりの大口を開けて歩いてきた沢村。そんなバカに赤面した姿を見られ指摘された事に並々ならぬ怒りと羞恥が込み上げてきた
「うるせー！補欠！話しかけてくんな！」
「な！？何をっ！俺を補欠と呼ぶんじゃねえ！」
「ボールも投げさせてもらえねぇ野球部員がいてたまるか！」
ここまでことを大きくしたいわけではなかったのだが沢村がギャースカ言ってくるものだから金丸も負けじとギャースカ言ってしまう
「お、落ちっ落ち着いて…2人とも…！」
見覚えのある女子が仲裁に入ろうとか細い声を上げる同じ1年のもう一人のマネージャーかと金丸は思うものの先に辞めたら負けだと担任教師が怒鳴りに来るまでそれを止めることはついぞなかった
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みけいぬこ(プロフ) - まうふちさん» コメントありがとうございます！3年生と沢山絡ませて青春していきたいと思います！ (9月12日 16時) (
レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
まうふち(プロフ) - 夢主ちゃんめっちゃ可愛いですし面白いです！お気に入りさせていただきました！更新楽しみにしてます！ (9月10日 5時) (レス) @page14 id: d0a3c1950d (このIDを非表示/違反報告)
みけいぬこ(プロフ) - あやかさん» あやか様コメントありがとうございます！何度も読んでいただけて嬉しいです！こちらは平穏に青春していきたいと思います(*ˊ˘ˋ*)またぜひ読みに来てくださいませ (6月21日 9時) (レス) id: cde2af9807 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 初めまして！全ての作品何度も読み返すほどみけいぬこさんの作品が大好きです！大っ好きなダイヤのAの作品が始まっていて、思わずコメントしてしまいました！みけいぬこさんのペースで頑張ってください！気長に待ってます！ (6月20日 18時) (レス) @page8 id: cac696b1d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2023年6月10日 3時
