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世間でやれ信用だ秩序だと
机上の空論でマスコミが騒ぎ立て
それに振り回され人々が不安や焦りといったものが蔓延し日本はたった一人のヒーローがいなくなっただけでだいぶ不安定になった
それでもヒーロー達は絶え間ない努力と惜しみない活動で表面上の平和を必死で守り抜こうとしている
次代のヒーローを少しでも早く世に排出できるように、数々の失態を失ったものを再び取り戻せるように地道にひたむきに努力する雄英、そしてヒーロー科の生徒たちもまた必死に平和を守ろうとする一団であった
ヒーロー仮免試験
卵と言われる生徒達が実際に現場に赴きヒーロー活動を行えるようになるセミプロの証
前倒しで取得に向かった1年生達はほぼ合格、その称号を得た
惜しくも得られなかった者たちも補講という形で足りない所を補えれば資格が得られるという
担任であった相澤はなんとかほぼ全員仮免取得が出来そうだと安堵のため息をつく。照りつけるような暑さだったあの悪夢の日から少し涼しい季節になった
新学期も始まり、時は止まることなく走り続ける
そんな進みゆく世の中で
相澤は自室に帰ると壁にかけているカレンダーにまた1つバツ印をつける。もう何回これをつけるだろう
「……もう2ヶ月、か…」
相澤が裏港に赴き、とある手がかりを見つけた日からもうそんな月日が経っていた
緑谷と爆豪が喧嘩したりインターンの説明にビッグ3を招いたり文化祭の打ち合わせがあったり中々に多忙を極めるのだが、その合間を縫って警察と連絡を取り合い情報を細々と整理していた
「拘本A…」
使い慣れたタブレットを操作してとあるフォルダを開いて中の資料をめくる。そこには警察や役所で管理されてる1人の少年の個人情報、そして過去の児童相談所等の資料がまとめてある
名前ひとつで案外情報は拾えるものだ
それが何かしら後暗いものがあるなら尚更
名前 拘本A
性別 男
出身 神奈川県
経歴 横浜第3中学校 中退
備考 両親は離婚。母親は記憶喪失となり精神病院に入院現在再婚している。父と暮らしており住所不定が発覚、児童相談所にて行方を捜索一度裏港近くで見つけるも保護には至らず。その後行方不明
個性、
「……忘却、か」
資料を見て相澤は納得出来た
自分の消えた記憶
これが彼の個性だったのだと
そして父親の個性をみて全容をなんとなく把握出来てしまった
父親の個性は絶対命令
世間一般でいう"敵向けな個性"
その言葉が良く似合う個性だった
．
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年3月7日 15時
