【ヒロアカ】Vergiss-mein-nicht (ページ44)

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＿＿…

ザッ

「……」

各生徒の家庭訪問が終わり入寮を終え一喝しひとまず落ち着いたと思えた日の夜、相澤は1人裏港に来ていた

「ねーちゃん、これから俺らと1杯どうよ？」

「えー、お兄さんちょーイケメン！1人ー？」

ところかしこで低レベルな会話を繰り広げる酔っ払い達を横目に相澤はスタスタとネオン輝く夜の街を歩く。目的地は先日闇オークションを検挙したスタジオのある通り

閉鎖されたスタジオの辺りは他の通りより暗く鬱々とし人通りもほとんどなかった
テープの貼られたそこはもうしばらく誰も足を踏み入れていないようだ

「……」

あの日のことが昨日のようによみがえる。辺り一体を警察が取り囲み騒々しく、そして

走り去る金髪の少年の後ろ姿

逃げていった方向に相澤は足を向ける

何故ここに来たかと言うと

家庭訪問の際に聞いた轟の話がきっかけだった

『神野に行ったあの帰り、住宅街に逃げ出した脳無と出会いました』

神野に行ったことに対しての説教は割愛
会敵したという脳無は轟と八百万が爆豪奪還を果たし避難をした現場から少し離れた住宅街だったという

『八百万に戦闘を止められて交戦はしてません…けどその時』

＿＿脳無が人を連れていたような気がするんです。金髪の、多分俺らくらいの子供

「金髪、か…」

特に目的地もなく道なりに進む
進むにつれて薄暗く街頭は減り裏通りだというのがわかる
ちらと路地裏建物と建物の間に視線を向けるも特に何もない。薄暗い不気味さと汚いものを全て隠しましたと言わんばかりのゴミが散乱し野良猫やカラスがそれらをつつきあう景色

ここにあの少年がいたのかと思うと不憫でならなかった

「(こんな景色ばかりみてきたのか…)」

あの少年がここら辺に住んでいるという確証は得られていない。警察も神野の一件があり依頼していた調査は進んでいないという…もっとも手がかりが金髪な少年くらいしかないのだから時間がかかって仕方ない
轟の証言も別に同一人物だと断定するには早すぎる

…けれどなんとなく同一人物なのではないかと思ってはいる

…家出少年でたまたま事件に巻き込まれたのではなく、この近辺に住んでいる孤児、もしくは裏界隈の住人なのではないか、と

「……！」

しばらか歩くと道が開け正面に違う景色が見えてきた
思わず足を止める

．