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そう言ってつい、とさして興味もなさそうに死柄木はAの父親に視線を向ける。ようやく話を振られたもののその興味のなさを隠しもしない態度にさらに顔を赤らめる……あまりこの場の空気を正しく読めていないようだった
「敵連合かなんだか知らねぇが気分悪ぃな…おいA！！」
「！！と、さん…」
「？んー？A…？誰です？」
いきなり名前を呼ばれAの肩が大袈裟にビクつく。トガとやいやい騒いでいたのに今は背筋を伸ばしその顔色は先程よりも青白いものであった。世界から父親以外いなくなったかのようにAには父親しか目に写っていない
「あいつバカじゃねぇのか。何のために偽名名乗ってたと思ってんだ…能無しかよ」
父と呼び恐る恐る男に近寄るミュオ、基Aを荼毘は静かに目で追う。この場でこの男に何が出来るのだろうとことの成り行きを見守る事にしているとキラリと男の目が赤く光る。それと同時にAの身体が変に硬直したかと思うとすぐに弛緩しふらりとこちらに向き直る。無感情に虚空を見つめるその瞳を見て洗脳系の個性か、と瞬時に理解した
「そのガキ操って何すんだ？」
「戦うのですか？それなら血をいただきたいです！ちゅーちゅー吸いたいのです！」
「やめろ、ここで暴れんな」
挑発的な態度の荼毘と恍惚とした笑みを浮かべ構えるトガを死柄木は片手を上げて制する
「そのガキに俺らを殺れる力があるとは思わないが、何か算段があっての行動か？」
「なん、だと……！」
自分より幾分年下だろう死柄木に圧倒されてる自分を認めたくない一心で精一杯の虚勢にと声を荒らげる。それが既に格下だと言ってるようなものなのだが気づきはしない。死柄木は何となくAの個性を把握してる。Aを洗脳したところで出来ることはたかが知れてる、めんどくさいと一つため息を吐きどうにかしろと言う意味を込め儀欄を見やる
「まあまあ旦那、落ち着いて。目的地はここじゃないんだよ。ここは所謂駅のホームみたいなとこ」
「チッ、だったらさっさと連れてけよ！胸糞悪いなっ」
「…それはこっちのセリフですぅ。口だけの大人は嫌いです」
「なんか言ったか！！」
「そんなことよりAくん元に戻してくださいよ、おじさん」
「〜…！！」
ぶーと頬を膨らますトガと顔を赤くする男
それを見て耐えきれず荼毘がはっと息を吐き出し笑いを抑える
「…もういい、さっさと行けよ。黒霧」
堂々巡りのこの状態に痺れを切らした死柄木は黒霧に声をかけゲートを開けさせた
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年3月7日 15時
