【ヒロアカ】Vergiss-mein-nicht (ページ28)

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夜の表通りは少し裏の世界の様子に似ている…当たり前に繁華街を通り道行く人とすれ違う。慣れない場所に1人びくついている方が目立つと思いなんとか震えそうになる身体を押し留め二人の男の背中を追う。酒が回ってるのか少しふらつきながら歩く父と、煙草の煙を撒き散らし堂々と歩く儀欄。何度か声をかけられそうになったのでAはパーカーのフードを被り拒絶の意を示しながら歩く。それを楽しそうに大人の余裕を見せながら時折視線を向けてくる儀欄を気付かないふりして拒絶する

「(どこに向かってるんだ…)」

裏港をとうに抜け見知らぬ風景、恋しいわけではないがあの一帯しか知らないAにとってはこの先何があるのか想像もつかない。嫌な予感もピリピリとした嫌な痺れもおさまることがない……万が一何かあった場合、自分はどう対処したらいいのだろうか

「おっと、旦那ここだよ」

「！」

先行していた父に声をかけ儀欄はとあるビルの前でようやく歩みを止める。視線を向けると何の変哲もないビル、看板には"BAR"の文字。どこであっても裏の人間が集まる場所は似たようなものなのだな…と思う。扉もとくにないビルに消えていく2人に続く。くぐればそこは薄暗く上に続く階段…似たような事が前にもあったな、とつい最近の出来事を思い出し冷や汗が伝う。……上るしかないのだが

2階、3階と進むと明かりの漏れる一枚のドア。ここがBARの入口なのだろう

コンコン

「死柄木さん、邪魔するぜ」

慣れた様子でそう声をかけドアを開ける。お店に入ると言うより家にお邪魔する感覚だなぁとどうでもいい事を考えてると中の光が大きくなり暗闇に慣れていた視界が眩しさに痛みを主張する

「…先入れ」

「！！……」

徐に父親に背中を押されたたらを踏み慌てて中に入る。転ばなくてよかったと思う間もなく全身を襲う言い様のない寒気に思わず背筋が伸びる

…冷房が効きすぎてる、とかじゃない。これは…

「(殺気……)」

パタンと扉が閉まる音と急な閉塞感に似た全身を包む威圧感に身体が硬直する。一歩でも動いたら食われるような…言い様のない恐怖がAを襲う

「…へぇ、ガキの癖に勘はいいようだな」

「…」

フードを被っているため床しか視界には映らない。けれど正面から聞こえる男の声から近くも遠くもない距離にいることはわかった。父親と儀欄を除いておそらく4人…

「(これが、敵連合…)」

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