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あの後現状が上手く理解出来ていない相澤は指揮をしている塚内の元に向かった。「さっきの少年は無事かい？」と開口一番そう聞かれ、相澤はこの数十分の記憶がない事を塚内に告げた。その上で今の現状を教えてほしいと頼みそれでようやく理解した
「……ということは、イレイザーヘッドは配置に着く前の所までの記憶はあってそこから一気に今に記憶が飛んでるってことであってるかな？」
「はい、リカバリーガールも同じです」
「僕の記憶だと君は金髪の少年を抱えていた。被害者の1人だと言っていた」
それに関しては他の突入したメンバーも最後の競りに金髪の少年を目撃している事から間違いはなかった。相澤は走り去る金髪の少年を思い出す
「(被害者の1人なら何故逃げた……？)あの、本当にその少年は被害者なんですか？」
「ああ、えっと…そうだね。一応競りの様子は録音しているから確認するといい。1番最後に彼の事を話してるから」
そう言われ渡されたテープをヘッドホンをして確認する。そこには確かに司会の男が興奮気味に説明をしている声が残されている
「(金髪にブルーサファイアの瞳、、)」
正直顔ははっきりと見ていない。が金髪で華奢と言われれば走り去った少年だろうと思う。しかし、やはりそうなると逃げる理由がわからない。記憶が飛んでいることからも何かしら個性を使われたと考えて間違いはないだろう
「はぁ……」
がりがりと頭部を軽くかく。痒いわけではないのだが……林間合宿前に面倒そうなものを残してしまった感が拭えない。家出の延長で事件に巻き込まれたもののこのまま素直に戻るのが嫌で逃走したか、はたまた紛れ込んでいた関係者かはたまた…全く無関係で巻き込まれた訳ありの少年か
「3つ目はない、か…偶然がすぎる」
保護した子供たちの身元を洗えば今回の行方不明者達の特定ができるはず。1人浮いてくるはずだから合宿後に確認をしようと思い、気を取り直して事後処理をするかと立ち上がる
この抜け落ちた記憶は元に戻るのだろうか…
ふとそんなことを思う。数十分なくなったところでどうって事ないのだが、ただの健忘ではなく個性によるものなら珍しく特殊な個性だな、と思う。それこそ隠蔽工作等にもってこいの個性なのではないか
忘れようともすぐ思考の最先端に戻ってきてしまう金髪の少年
しばらくは鬱々と考えそうだな、とため息をこぼした
．
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年3月7日 15時
