37 ページ10
「さァ昨日言ったね"世話を焼くのは今日まで"って!」
「己で食う飯くらい己で作れ!カレー!!」
阿鼻叫喚の特訓が終わり、へとへとで戻って来た一同が見たものは、大量の食材と楽しそうなプッシーキャッツの2人だった
「イエッサ……」
今日散々言った言葉も言う気力はなくか細くなる
もう寝たい、、それが本音である
ケラケラ笑う元気そうなラグドールとピクシーボブが心底羨ましかった
「災害時など避難先で消耗した人々の心と腹を満たすもの……救助の一環……!」
さすが雄英!!世界一うまいカレーを作ろう!!と一人闘志を燃やす飯田を相澤は便利だナ……とふと思った
各々のろのろと作業に取りかかろうとする中、おずおずと切島が相澤に近寄ってくる
「先生……あの、シンの姿がみえねぇんすけど」
朝の気まずさもあるのだろう。それでも気になってしまうあたり、シンをなかなかに大切に思っている証拠だ……この気持ちが無碍にならなければいい、そう思う。
「シンは個性のキャパオーバーで吐きまくって動けそうになかったから医務室で休んでる。あの調子じゃ飯は無理だろうよ」
「ヒッ、犠牲者が1人」
「透ちゃん、まだ生きてるから殺しちゃダメよ」
喧嘩など何もしてない女子陣は素直に(?)シンを心配する。飯田、八百万の指示の元ひとまずてきぱきと作業を行っていく
若さゆえかわいわい楽しそうに作業する面々をみやり、今ここにシンがいないことに、今日のことを少し後悔する
気付かないふりをした方がよかっただろうか……
相澤の脳裏には作り物のようなあの笑顔が蘇る
あれを見たのは2回目
一度目は体育祭後の保健室
そして今回
前はあの笑顔の後にガラリと雰囲気が変わった、悪い方向に……今回もそうなのだろうかと不安がよぎる
穏やかに炎の個性を使う轟をみて
安堵する一方で
相澤の不安は膨れていく
何か、見逃していることはないだろうか……
どこかに彼のSOSが転がってはいなかったか……
シンの卒業校の事や保護者関連のことで確実な裏が取れればいつでも動けるのに、思う。合宿中ということもあり簡単にオールマイトや塚内と連絡を取ることは出来ない
…敵対策のためとはいえ、些か失敗したか、と思う相澤であった
………
「疼く、疼くぞ」
闇夜に悪は舞い踊る
一部の人間しか知らないはずの合宿所に
魔の手はスグそこまできていた……
228人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みけいぬこ | 作成日時:2022年2月24日 16時