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粉々に砕けたピアスが床に散らばるのをみて
こんなに呆気ないものなのかと
思ってしまった
触れられない重く恐ろしいものだと思っていたものが
こんな一瞬で外れてしまうものなのか、と
「な、んで……」
一瞬、救われたと思ってしまった……
あの人から解放されたのかと
ダンッ
「いっッ……」
だがそれも再び押し倒された事により
一気に恐怖心が高まる
ここに連れてきたのは目の前の男だ
味方ではない……はず
「なんでって、なんでだと思う？」
「つ…はな、れっろ……！」
＿＿ピアス壊れてホッとしたか？
「！」
脳に直接話しかけられるのが気持ち悪くてたまらない
＿＿怖かったんだろ、ブルーローズが
「うるさっ……やめ、ろ…！」
もがいても跨る男はビクともしない
楽しそうに口角をあげ反応を楽しんでいる
＿＿どこにも居場所なんてないんだろ？
「ッ……！」
居場所……
今1番考えたくない事だった
居場所なんてどこにもない
どこにも、居ていいと
そして、居たいと思う場所なんて……
「ッ……！」
「(お前にはないよな、居場所なんて)」
一層歪んだシンの表情に
荼毘は自身の気持ちが高揚してるのを感じた
今のシンの心情が手に取るようにわかる
自分の言葉でシンがどんどん堕ちていくのがわかる
無垢で綺麗なものを穢していくこの背徳感がたまらない
根がいい子ちゃんな正の人種
そんな奴がわけも分からず悪の道に落ち
その道の途中で光に出会う
その時に感じるのは己の汚さや醜さ
光の道にあがれないと、次に感じるのは
絶望感。本来は正の人種、悪の道なんて耐えられるわけがない
どっちにもいけない苦しさ
そこに荼毘はつけこむ
「助けてやろうか？その苦しみから」
「！！」
やっと、オパールと視線がかち合う
涙と合わさってより一層輝くそれは
この世のどの宝石より美しかった
欲しい、と思ってしまう
＿＿その話をしたいんだ…なぁマリアちゃん
シンの瞳が揺れる
荼毘の言葉にぐらぐら揺れる
この苦しみから
この恐怖から
この闇から
抜け出せるのか？
本当に？
チリチリと頭が痛む
小さな光が消えようとしていた
．
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年2月24日 16時
