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「んー?」
合宿訓練、二日目
一通りの学生の個性をサーチし各々の鍛錬内容を伝えたラグドールは1人小首を傾げていた。
その視線の先にはひたすらに投げられる土の塊を避けて避けて避けまくっている1人の少年の姿。5分避けて2分休憩のインターバルをひとまず50本やらせている最中である
だが、ラグドールは複雑な心境だった。
なぜなら、己がサーチした内容と今の特訓は合っていないからである。
「(んー、何回やっても同じ…サーチバグってる?)」
そう己の個性を怪しむも、他の生徒達は特に違和感を感じないのである。ちなみにその違和感というのは事前に渡されていた生徒たちの個性情報と己がサーチした内容に関して、である。事前情報である程度内容は想定していたのでサーチは程々に微調整を加えそれをこなしてもらっているのだが、目の前にいる少年だけは微調整どころの話ではなかったのだ
「(知らされていたのは"瞬発"脚力強化の個性、のはずにゃんだけど……)」
再度、彼のサーチを試みる。見えてくるのはやはりそれとは似ても似つかないものであった。己の個性がバグっているということはほぼほぼないだろう。なので考えられるのは一つ……_
「……イレイザー、ちょっと」
「?」
____……
「はっ、はっ……」
飛んでくる土の塊をひたすらに避けて何時間たったのだろう…ひとりメニューという事がひとまずは助かった。昨日の夜のことは忘れたいが忘れられるものでもない。……見られた、に決まっている。目前に飛んでくる土の塊を叩き割りシンはまた一つ跳躍して避ける。インターバルが短くて、流石に息が切れる……
本来隠し通したかった背中のタトゥー、それを切島や上鳴達に見られてしまった。マフィアに縁遠いただの学生だ、何か勘づかれることはないだろうが…シンにとってこれは敵の証のようなもの…それを1Aのメンバーにはみられたくはなかった。そのショックが思いのほか大きくますます彼らと関わるのが億劫になる
完全に違いを認識した
いつか彼らがこのタトゥーの意味を知ったら
それは決別の時…
それでいいのだ、本当は
自分は奪う側の人間
もうすぐきっと、オールマイトを殺すのだろう
この手で
そんな事を考えていたせいか
疲れが出始めていたのか
元より個性も発動していなかった油断か
急に気配を感じたかと思えば強制的に個性の切断が解除され
一気に声が流れてきた
.
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作者名:みけいぬこ | 作成日時:2022年2月24日 16時