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炎が森を焼き
平穏に過ぎるはずだった肝試しの夜が
混沌と不安、恐怖に支配される
「っ＿＿ああ！！」
残された緑谷は届かなかった
先まで目の前にいた爆豪やシンが居た場所を見つめ
苦痛の叫びを上げていた
身体が痛くてなのか悔しくてなのか本人も
分かっていない
麗日や蛙水が遅れて場に着いた時には
意識も朦朧としており1人では立てない状態だった
完全敗北
敵がいなくなった森の中では
警戒をしつつも各々が危険から乗り切ろうと奮闘し
なんとかプロヒーローと合流
施設に辿り仰せた
ブラドが通報していたことにより程なくして救急、消防、警察がかけつけ
消火やけが人の救護、捜査に当たった
生徒41名のうち
敵のガスによって意識不明の重体14名
重・軽傷者12名
無傷で済んだのは13名だった……
プロヒーローは6名のうち、1名が頭を打って重体
1名が大量の血痕を残し行方不明
そして、生徒の中で
行方不明が2名……
「爆豪…シン……」
避難用に用意されたバスの中
重傷者を除き自力で動ける生徒は
早々にバスに押し込められ帰路に着いていた
切島は流れる景色を横目に
今いない二人の名を呟く
「……っ！」
溢れてくるのは言いようのない悔しさ
何も出来なかった不甲斐なさ
自分だけ安全なところで
のうのうとあの時間を過ごしてしまった
そして……
「……くそ…」
両手を開いて手のひらを見つめる
そこにはほのかにまだあたたかさが残っているような
しかし、あの時触れたぬくもりはニセモノだった
それでも、自分だけが触れていた
彼の背に
1番近くにいたのに
「(守れなかった……何も…できなかった……！！)」
見たかった彼の笑顔はニセモノのそれで
でも、あれが最後の笑顔なのでは、と思ってしまった
「(いやだ……、)」
ぐっと拳を握る
まだ、何もしていない
まだ、何もできていない
前を向いた切島の瞳は
何かを決意した
そんな色をしていた
．
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年2月24日 16時
