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強く引かれる腕が痛かった
やや息苦しさを感じるも
シンの内心は混乱と恐怖でいっぱいだった
「(バレた…爆豪と、轟に…しかもみられている……)」
己の個性が見破られたのは驚きだし
タトゥーをまた見られたのもショックだった
息抜きと言われた肝試しがとんだ地獄のイベントだと
マンダレイに文句のひとつでも言ってやりたかった
だが、そんなことどうでもいいのだ
シンの心を占めるのは重く耳に存在を主張するピアス…
「(顔はみせないようにしたけど…声は完全に聞かれている……全部見られてる…)」
この先の未来を想像して、シンは絶望した
どうやっても庇いきれない……2人が…
「い、、っ！おいっ！！！シン！」
ビクッ
いきなり聞こえてきた己を呼ぶ声に肩を揺らし
飛んでいた意識を現実に戻せば
目の前には焦ったような轟の姿
その背後には爆豪の爆破音と爆煙が広がっていた
手を離されていたことにも気づかなかった
「シン！お前こいつおぶって先に施設に戻れ！」
「……っ」
何を言ってるのか理解できなかった
よく見れば爆豪は交戦している様子
腕を身体に添わせ拘束されたような不気味な装いの男
口から刃物をだし爆豪に攻撃を仕掛けている
……知らない男だ。何の目的でここに居るのか検討がつかない。少なくともブルーローズのメンバーではない
「シン！さっきの話が本当なら俺の話をちゃんときいてくれっ！頼む！」
「！……き、いてる…」
轟の剣幕に思わず個性を発動する
流れてくる轟の心の声はとても焦っており
今が本当に想定外の出来事なのだとわかる
「マンダレイのテレパスきいてたか？！今敵連合が襲撃してきてる。数は分かんねぇ！とりあえず目の前に1人！」
＿＿交戦はしちゃいけねぇ！施設に避難が最優先
「B組の生徒が何かにやられて意識がねぇ！背負いながら奴を撒くのは危険すぎる、だから……！」
＿＿先にお前が駆けて施設へこのことを知らせてくれ！
「！な、んで……」
先の話を轟も聞いていただろうに
己の個性は瞬発ではない
なのに、ここで自分を信じるというのか……？
「お前が何隠してるのかも、何に怖がってるのかもわかんねぇ！でもそんなこと今はどうでもいい！！」
轟の声がまっすぐ入ってくる
それは嘘偽りない、彼の言葉
「お前は仲間を見捨てねぇ！だから託す！このことを知らせてくれ！」
．
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作者名：みけいぬこ
| 作成日時：2022年2月24日 16時
